【コスト削減】民泊清掃を自分で行う手順を徹底解説|内製化のメリットと具体的なチェック項目

民泊運営において、清掃は宿泊者の満足度を左右する重要な業務です。多くの運営者が専門業者に清掃を委託していますが、規模や立地によっては自分で清掃を行うことでコストを削減できる可能性があります。

本記事では、民泊清掃の内製化を検討している運営者の方に向けて、外注との費用比較、内製化が現実的となる基準、具体的な清掃手順、必要な用具について実務的に解説します。

この記事でわかること

  • 民泊清掃を自分で行うメリットとコスト比較
  • 自分で清掃できるかどうかの判断基準
  • 民泊清掃の実務手順や必要な準備

■この記事の執筆者


ReINN株式会社/東急不動産ホールディングスグループ
民泊メディア編集部 マーケティングマネージャー

民泊領域に特化した専門編集チームとして、行政手続き・運営ノウハウ・物件選定など、開業から運営・売却までを一気通貫でサポートする情報を発信。営業現場で蓄積された実データと最新トレンドを基に、オーナーの意思決定を支えるコンテンツを企画・編集している。

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【免責事項】
・本記事における「民泊」とは、住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業、旅館業法に基づく簡易宿所営業、および特区民泊制度のいずれも含む総称です。
・本記事の内容は、2025年12月時点で確認可能な法令・制度・サービス内容等に基づき作成しています。最新の法令や制度、各サービスの詳細については、必ず各自治体や事業者の公式ホームページにてご確認ください。

目次

民泊清掃を自分で行うメリットとコスト比較

民泊清掃を内製化する最大のメリットは運営コスト削減です。清掃費用は民泊運営における固定的な支出の一つであり、特に稼働率が高い物件では年間を通じて相当な金額となります。

外注した場合の費用相場

民泊清掃を専門業者に委託した場合、料金体系は物件の広さ、間取り、立地、清掃内容によって異なります。一般的な料金相場は以下の通りです。

清掃料金の目安(1回あたり)

間取り広さ相場
ワンルーム・1K20〜30㎡3,000〜5,000円
1LDK・2K40〜50㎡5,000〜8,000円
2LDK・3K60〜70㎡8,000〜12,000円
3LDK以上80㎡〜12,000〜20,000円

これらの料金には基本的な清掃が含まれますが、消耗品補充(1,000~2,000円)、リネン洗濯(1セット500~1,000円)、ゴミ出し代行(500~1,000円)などが別途発生する場合があります。

例えば、1LDK(50㎡)の物件を月に15回稼働させた場合、清掃費用だけで月額約75,000~120,000円、年間では約90万~150万円の支出となります。

内製化で削減できるコスト

清掃を自分で行う場合、外注費用が不要となるため、上記の例では年間約90万~150万円のコスト削減が見込まれます。内製化の主なメリットは以下の通りです。

コスト面でのメリット品質管理面でのメリット
清掃業者への支払いが不要
→その分を他の投資や収益に回し可能
自分の基準で清掃品質を管理できる
→ゲストの評価に直結する部分を重点的にケアが可能
消耗品を自身で選定・購入することで、品質とコストのバランスを調整可能清掃のタイミングを柔軟に調整でき、チェックイン直前まで対応可能
繁忙期の割増料金や緊急対応の追加費用が発生しない物件の状態を常に把握でき、設備の不具合や消耗を早期発見

清掃の品質は、適切な手順とチェックリストを用意することで、プロの業者と同等の水準を保つことが可能です。ただし、内製化には時間的拘束というデメリットもあるため、本業との両立が難しい場合は部分的な外注との併用も検討すべきです。

自分で清掃できるかどうかの判断基準

清掃の内製化が現実的かどうかは、運営者の状況や物件の特性によって異なります。

必要な時間と体力

一人で清掃を行う場合、1回あたりの所要時間は物件の広さと汚れ具合によって変わりますが、一般的な目安は以下の通りです。

清掃所要時間の目安

間取り広さ清掃所要時間
ワンルーム・1K20〜30㎡1〜1.5時間
1LDK・2K40〜50㎡1.5〜2時間
2LDK・3K60〜70㎡2〜3時間
3LDK以上80㎡〜3〜4時間

一人で内製化が可能な条件は以下の通りです。

  • チェックアウトからチェックインまでに十分な時間的余裕がある(最低3~4時間)
  • 物件が自宅や職場から30分以内の距離にあり、移動負担が少ない
  • 体力的に清掃作業を継続できる

物件の広さ・戸数による判断

内製化が現実的な物件規模は、運営者の時間的余裕と体力によりますが、一般的には以下のような基準が目安となります。

内製化が比較的容易なケース外注併用を検討すべきケース
1戸のみの運営で広さが50㎡以下4戸以上の運営
2戸運営でそれぞれ30㎡以下かつ近接している広さが80㎡を超える物件
週末のみの運営で平日に準備時間を確保できる稼働率が80%以上でほぼ毎日清掃が必要
本業との両立が難しく時間的余裕がない

清掃頻度については、稼働率によって大きく変動します。例えば、稼働率50%の物件であれば月15回程度、稼働率80%であれば月24回程度の清掃が必要になります。

用具・設備の確保

清掃を内製化する際は、適切な用具と保管場所の確保が不可欠です。物件内に専用の収納スペースがあるか、車でアクセスできるか、複数物件を回る場合の効率的な動線が確保できるかなどを確認しておく必要があります。

民泊清掃の実務手順

住宅宿泊事業法では、宿泊者の衛生確保のため定期的な清掃を義務付けています。ここでは具体的な清掃手順を解説します。

清掃前の準備とスケジュール

効率的な清掃を行うためには、事前にスケジュールを立てることが重要です。清掃当日の時間配分例(2時間の場合)は以下の通りです。

清掃当日のtodoリスト・時間配分イメージ
  • 到着・換気(10分)
  • 寝室・リビングの清掃(30分)
  • 水回りの清掃(30分)
  • 床清掃(20分)
  • 消耗品補充・アメニティ配置(20分)
  • 最終チェック・ゴミ出し(10分)

複数の予約が連続する場合は、チェックアウト時刻を10時、チェックイン時刻を15時以降に設定するなど、余裕を持ったスケジュール設定が重要です。

リビング・寝室の清掃方法

リビングは宿泊者が最も長い時間を過ごす空間です。また、寝室は清潔感が最も重視されるエリアです。例えば、寝具のシーツやカバー等、直接人に接触するものは宿泊者が入れ替わるごとに必ず洗濯したものと取り替えることが必要です。

具体的には、以下の手順で清掃を行います。

リビング寝室
①片付けと整理(忘れ物チェック、リモコン類の定位置配置)①ベッドシーツ、枕カバー、掛け布団カバーをすべて交換
②高い位置から低い位置へ埃を除去②マットレスの状態を確認
③テーブルや椅子の拭き掃除③ベッドサイドテーブルや照明スイッチを除菌
④床は掃除機とモップで仕上げ④クローゼットや引き出しに私物が残っていないかチェック
⑤窓ガラスや照明の状態を確認⑤床は掃除機で隅々まで清掃
⑥エアコンの設定を適温にする⑥鏡がある場合は拭き上げ

水回り(浴室・トイレ・キッチン)の清掃方法

浴室トイレキッチン
①換気扇を回す①便器内をブラシで擦る①シンクと蛇口を洗浄
②浴槽、壁、床を専用洗剤で洗う②便座と蓋の表裏を除菌②コンロ周辺の油汚れを落とす
③排水口は髪の毛やゴミを取り除く③床や壁も拭き掃除③冷蔵庫内に食材が残っていないか確認
④鏡や蛇口は水垢を落として磨く④トイレットペーパーを補充④電子レンジなどの家電も拭き掃除
⑤清掃後は水切りワイパーで水滴を除去⑤スポンジや布巾は新しいものに交換
⑥清潔なバスマットを設置

見落としがちな清掃ポイント

プロの清掃業者は経験に基づいて細部まで気を配りますが、自分で清掃する場合、以下のような箇所が見落とされがちです。

  • 電気スイッチやドアノブ(手垢で汚れやすい)
  • ベッドの下、ソファの裏(埃や小物が溜まる)
  • 窓のレールや換気扇(砂埃や油汚れが蓄積)
  • 排水口やシンク下(ヌメリやカビが発生)
  • リモコン類や小物(手垢が付着)

これらは宿泊者の満足度に直結するため、除菌シートで毎回拭き上げるなど特に注意が必要です。

消臭対策

民泊において臭いの問題は清潔感と直結する重要な要素です。主な臭いの発生源と対策は以下の通りです。

  • タバコ臭: 換気を徹底、消臭スプレー使用、カーテンの定期洗濯
  • 料理臭: 生ゴミは即座に処分、換気扇の定期清掃
  • 湿気・カビ臭: 清掃後の十分な換気、除湿剤の設置
  • 体臭・生活臭: リネン類の毎回洗濯、マットレスの定期的な除菌

消臭スプレーの使いすぎには注意が必要です。まずは臭いの原因を特定して除去することが基本であり、消臭剤はあくまで補助的な手段と考えましょう。

ゴミ出しと廃棄物処理

【重要】民泊で発生したゴミは事業系廃棄物です

住宅宿泊事業に起因して発生したゴミは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき事業活動に伴って生じた廃棄物として住宅宿泊事業者が責任を持って処理しなければなりません。一般家庭ごみとして出すことはできません。

ゴミ処理の手順
  • 各部屋のゴミ箱からゴミを回収
  • 自治体のルールに従って分別
  • 事業系ゴミとして適切に処理(自治体指定の処理方法を確認)
  • 生ゴミは密閉して処分
  • 収集日に合わせて適切にゴミ出し
  • 各ゴミ箱を清掃し新しいゴミ袋をセット

必要な清掃用具と消耗品リスト

基本的な清掃用具

清掃に必要な基本的な用具は以下の通りです。初期投資として2~3万円程度を見込んでおくと良いでしょう。

清掃用具相場費用感
掃除機5,000~15,000円
フロアワイパーと替えシート2,000~3,000円
バケツ・モップ2,000~3,000円
スポンジ・ブラシセット1,000~2,000円
マイクロファイバークロス1,000~2,000円
ハンディモップ、ゴム手袋、ゴミ袋など1,000~2,000円

複数物件を運営する場合は、各物件に基本的な用具セットを常備しておくと移動の負担が減り効率的です。

消耗品と補充頻度

トイレ用品キッチン用品お風呂用品その他
トイレットペーパー(毎回補充、予備ロールも設置)食器用洗剤(月1〜2回)シャンプー・リンス・ボディソープ(月1〜2回、残量確認)ティッシュペーパー(毎回、各部屋に設置)
ハンドソープ(月1〜2回、残量を毎回確認)スポンジ(2週間に1回、衛生面から頻繁な交換が必要)バスタオル・フェイスタオル(毎回交換)スリッパ(3〜6ヶ月に1回交換)
布巾(毎回清潔なものに交換)バスマット(毎回交換)
キッチンペーパー(毎回1ロール設置)歯ブラシ・歯磨き粉(毎回、個包装タイプを人数分)

なお、清掃備品は定期的に補充が必要となります。
スプレッドシートやアプリ等でリストを作成し、清掃時に確認。まとめ買いでコストを削減したり、消耗品の発注タイミングを決めておきながら、予備の清掃備品を確保しておきましょう。

清掃マニュアルとチェックリストの作成方法

清掃の品質を一定に保つためには、明確なマニュアルとチェックリストの作成が不可欠です。

マニュアルに記載すべき内容
  • 物件情報(住所、鍵の場所、Wi-Fiパスワード等)
  • 清掃の流れ(時系列)
  • 使用する用具と洗剤
  • 消耗品の補充基準
  • トラブル対応(緊急連絡先、業者リスト)
チェックリストの活用方法
  • 到着時の換気から各エリアの清掃項目、最終確認まで作業手順に沿って項目を並べる
  • クリップボードに挟んで持ち歩き、項目ごとにチェックを入れながら清掃を進める
  • 抜け漏れを防ぐ
  • 清掃完了後の写真を撮影(記録・トラブル時の証拠として活用)

よくある質問(FAQ)

清掃時間を短縮するコツはありますか?

作業動線を最適化し、上から下へ、奥から手前へという基本原則に従いましょう。洗剤を塗布してから時間を置くことで汚れが浮きやすくなるため、浴室やトイレに洗剤をスプレーしておき、その間にリビングを清掃するといった並行作業が効果的です。慣れれば1LDKで1.5時間程度で完了できます。

清掃中に設備の故障を見つけた場合はどうすればいいですか?

次のチェックインまでの時間を確認し、軽微な問題は自分で対応、専門的な修理が必要な場合は業者に連絡します。時間がない場合は速やかにゲストに連絡し対応策を提案します。対応できる業者の連絡先を事前にリスト化しておくと迅速な対応が可能です。

複数物件を運営していて清掃が間に合わない場合の対策は?

チェックアウトとチェックインの時間を調整し、物件間の移動時間を考慮した予約受付を行います。それでも間に合わない場合は、清掃の一部を家族やアルバイトに依頼する、特定の曜日や繁忙期のみ清掃業者に委託するなどの部分的外注が効果的です。

清掃だけ部分的に外注することは可能ですか?

はい、可能です。自身で清掃体制を整えることが難しい場合は、清掃会社への代行を委託することで運営を効率的に行うことができます。また、清掃だけでなく運営全般を委託できる代行業者も存在します。
詳しくは下記の記事で解説していますので、ご参照ください。

民泊清掃ならReINNにご相談を

民泊清掃の内製化は、コスト削減という大きなメリットがある一方で、時間管理や品質維持、効率化など検討すべき要素が多数あります。ReINNは、民泊運営における清掃体制の最適化について中立的な立場から専門的なアドバイスを提供しています。

ReINNのサポート内容

  • 運営診断サービスで現在の状況を分析し、清掃の内製化が適しているか客観的に診断
  • 物件の特性に合わせた清掃マニュアルとチェックリストの作成支援
  • 部分的に外注を検討する場合の清掃業者比較サービス
  • コスト最適化アドバイス

ReINNの強みは、民泊運営全般にわたる豊富な知識と中立的な立場からのアドバイスです。清掃の内製化について迷いや不安がある方は、まずは無料相談をご活用ください。

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