第13章:物件の値段は「見えない部分」で決まる

ここまでエリアの選び方を見てきましたが、同じエリアの中でも、同じような立地・同じような建物であるにもかかわらず、値段がまったく違う物件に出会うことがあります。この差を生んでいるのが、許認可プレミアムと運営体制プレミアムという、目に見えない部分の価値です。

まず、この2つの言葉が何を指すのか、ここで定義しておきます。

物件の価値は、大きく3段階に積み上がっています。

土地と建物だけの価値は、通常の不動産としての評価額です。民泊としての実績や許認可の有無は一切考慮されていない、いわば「素材」としての値段です。

そこに許認可プレミアムが加わります。住宅宿泊事業の届出や旅館業の許可が、すでに取得済みである状態の上乗せ価値です。買い手にとっては「これから許認可を取れるかどうか分からないリスク」を負わなくて済むため、価値が上がります。

さらに運営体制プレミアムが加わります。OTA(Airbnb等のプラットフォーム)での掲載実績やレビュー、清掃体制までセットになっている物件は、買った瞬間から収益が立ち上がる状態を買っているため、もう一段階価値が上がります。

さて、ここで第2部の話とつながります。この2つのプレミアムは、実は第2部で見てきた3つの武器と、そのまま対応しています。許認可プレミアムを払うということは、本来なら自分の知識(制度の理解)と行動量(申請の手続き)を使って手に入れるはずだった許認可を、資金で肩代わりしてもらっている、ということです。運営体制プレミアムを払うということは、本来なら自分の行動量(運営の手間)と知識(集客のノウハウ)を使って積み上げるはずだった実績を、これも資金で買い取っている、ということです。

つまり、資金という武器が厚い人は、このプレミアムを払って完成品を買えばよく、資金が薄く行動量や知識で戦う人は、このプレミアムを払わない代わりに、自分の手でその工程を埋める必要があります。これが、第7・8・10章で見てきた3つの武器の「交換レート」の正体です。

「同じ物件なのに、なぜこちらは高いのか」と感じたときは、この2つのプレミアムのどちらか、あるいは両方が乗っていないかを疑ってみてください。次章では、実際のエリアで、この考え方とデータの重ね合わせを実践してみます。

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