札幌や函館などの遠隔地で民泊・旅館業(以降「民泊」)を展開する不動産投資家のTak氏。一見困難に思える広域運営を可能にしているのは、「運営代行会社」との戦略的なパートナーシップでした。
本記事では、代行手数料を支払ってでもプロに現場を任せるメリットをはじめ、長期滞在でコスト効率の高いインバウンド客の特性、AIツールやSNSを駆使した最新の集客・価格戦略を解説。さらに、投資家目線で捉えた「次に狙うべき意外なエリア」までを語ります。
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【免責事項】
・本記事における「民泊」とは、住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業、旅館業法に基づく簡易宿所営業、および特区民泊制度のいずれも含む総称です。
・本記事の内容は、2026年5月時点で確認可能な法令・制度・サービス内容等に基づき作成しています。最新の法令や制度、各サービスの詳細については、必ず各自治体や事業者の公式ホームページにてご確認ください。
・本記事で紹介している投資手法や運営実績は、個人の経験および特定の物件における事例であり、将来の確実な利益や投資成果を保証するものではありません。民泊投資には空室リスクや価格変動リスク等が存在するため、実際の投資判断はご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。
遠隔地のハンドリングは、すべて運営代行会社に委託
――札幌や山中湖、函館といった遠隔地でも民泊を展開なさっていますが、現場のハンドリングはどうされているのですか。
Tak:結論から言うと、私は現場におけるゲストとのメッセージのやりとり、予約管理、清掃の手配、集客、鍵の管理といった仕事については、すべて運営代行会社に委託しています。
運営代行会社は、不動産賃貸業の管理会社をイメージしてもらえるとわかりやすいと思います。現在の賃貸における管理会社はだいぶ淘汰が進んでいて、大きいところがますます大きくなっていくという状況にありますが、業界そのものが成熟しているため、フィーの相場も3~5%程度で安定しています。
対して民泊の運営代行会社は、まだ始まったばかりのスタートアップのような状態で、大きい会社もあれば、小さい会社も混在している、いわば玉石混交の世界です。そして、フィーの料率も、売上に対して15~25%というように、かなり開きがあります。そのため、合わない運営代行会社を選んでしまうと、ビジネスがうまく行かなくなる恐れがあるので、やはり運営代行会社選びは重要です。 私の場合は複数の運営管理会社に分散させていて、一緒にやりながら、よい会社を選んでいくという使い方をしています。よい会社にはよりたくさんの委託をしたり、合わない会社から契約を移したりして、パートナーとしてともに歩んでいけるような相手を探していくのです。
運営代行会社の選定に至るまで
――先ほど、民泊の運営代行会社は”玉石混合の世界”であるとおっしゃっていました。どのように選定を進めたのでしょうか。
Tak:代行会社の選定は、ほかのホストや大家さんからの口コミ、またReINNさんのようなデータベースを持つ企業からの紹介などさまざまです。実際、ReINNさんには複数の会社を紹介いただきました。
とはいえ運営代行業界は不透明であり、やもすると、どこも均質なサービスを提供しているかのように見えがちです。
「東急不動産ホールディングスグループ」という信頼をバックに持つReINNさんには、ぜひとも今後、運営代行会社の格付け会社的な機能を期待したいですね。具体的には、第三者視点のさまざまな基準で、量的・質的に代行会社サービスの検証をしていただき、もっと透明性のある選択判断ができるようにしてもらえたらいいな、と思っています。
フィーを払って運営代行会社にオペレーションを依頼する理由
――売上に対して15~25%のフィーは、決して安いとは言えないと思いますが、それでも運営代行会社を利用するメリットはどこにあるのでしょうか。
Tak:もちろん、運営代行会社を入れずに自分で運営する人もいます。そうすれば15~25%のフィーを払わなくてすみますから、まるまる収益にできるわけです。そういう投資家は「ドミナント戦略」といって、自分の身近なところに物件を集め、目が行き届く範囲で展開していきます。
それに対して私のように、さまざまなエリアに物件を分散させている投資家もいます。私の場合、大家業の時点で日本各地に加え、海外にも収益物件を持っていました。その流れで今があるので、民泊も各地に展開しているわけですが、特に海外の収益物件に投資したときに学んだのが、現地で頼れるパートナーを探すことです。
遠隔地でも、物件を所有するところまでなら、地元のパートナーがいなくても案外何とかなるものです。たとえば物件チェックにあたっては、出張費はかかりますが、自身の身近な人物に行ってもらうことはできますし、各種手続きに必要な行政書士も、地元の人間でなければいけないというルールはありません。
でも、オペレーションの段階に入ったら、地元のパートナーは絶対に不可欠です。これは民泊も同じで、遠隔地の物件をオペレーションするには、運営管理会社とうまくパートナーシップを結んだほうが、何かにつけて円滑に進みます。
それに、民泊は24時間動く事業なので、オーナーだけですべてを抱えるのは現実的ではないと考えています。とくに清掃品質やレビュー対応は収益に直結するため、「長期的な信頼関係を築けるか」という点を重視して、運営管理会社を選ぶようにしています。 自前運営は確かに自由度が高いのですが、拡大スピードには限界があります。現場の運営をプロに任せることによって、オーナー側は企画や改善、物件選定など本質的な部分に集中できるというメリットもあります。自分はどの部分が得意なのか、何をするのが楽しいのかは、人によって違ってきますが、私の場合、トップダウンの判断やデザインの方向性、資金繰りなどに長けていると思っているので、ある種の割り切りで、15~25%のフィーは気持ちよくお支払いしたうえで、運営代行会社とパートナーシップを結ぶようにしているのです。



インバウンドのゲストと日本人ゲストの決定的な違い
――宿泊するゲストは、恐らくインバウンドの方が多いのではないかと思いますが、日本のゲストとの決定的な違いはありますか。
Tak:滞在日数です。私が所有している物件は、どちらかというと外国人目線で造られているので、日本人のゲストよりも海外からのゲストが多く、さまざまな国籍の方がお見えになります。
これは運営する側としては、非常にありがたいことです。ゲストの国籍が特定の国に偏ると、リスクが高まるからです。
日本人のゲストの場合、金曜日に来て日曜日に帰る、土曜日に来て日曜日に帰るといったように、せいぜい週末の1~2日しか滞在しませんが、インバウンドの方は短くても1週間、長いと1カ月くらい滞在されます。 たとえば東京の民泊施設に1カ月間泊まって、途中2日くらい京都へ行き、また戻ってきて別の部屋に泊まったりする方もいます。原則として、ゲストが帰ったら部屋に清掃を入れるのですが、1泊のゲストが続くと、毎日清掃を入れることになります。一方、長期滞在のゲストだと、滞在してくれている間は清掃せずにすむため、運営のコストが安くなるというメリットもあります。一番ありがたいのは、先払いで予約して、長く滞在してくれるインバウンド観光客です。
ツールを駆使しながら多角的なプライシングを実施
――集客や客単価の向上などで工夫されている点はありますか。
Tak:普通の賃貸だと、原状回復をした後、募集を行えば案外すぐに入居者が決まりますが、民泊の場合、部屋の作り込みも重要な集客の要素になります。「この部屋は単価を高めにできる」と思ったときには、少しグレードの高い家具を入れたりします。なお、家具の選定にあたっては、運営管理会社の方にお願いして、ある程度リスト化してもらい、客単価に見合うグレードのものを選ぶようにしています。
いまチャレンジしているのは、思い切り高い客単価が取れる宿をつくることです。たとえば函館の「ティーナイン函館」は歴史的建築物であり、そのバックグラウンドを使うことによって、その土地に滞在するストーリーをキュレーションできますし、唯一無二の新しい魅力を生み出すこともできます。そして、これが客単価の向上にもつながっていきます。
それとともに、部屋の値付けに際しては、「PriceLabs」のような、需要予測に基づいて料金を自動調節できるツールを用いた、ダイナミックプライシングを導入しています。「PriceLabs」はAIが周辺の競合状況や需要の増減をリアルタイムで分析して、最適な価格を自動的に弾き出してくれます。 ただ、それが果たして正解かというと、案外そうでもないケースもあります。ほかの民泊業者が同じようなツールを用いていると、AI対AIの戦いになっていき、価格の引き下げ競争に巻き込まれることも起こり得ますので、OTA(オンライン・トラベル・エージェント)だけでなく、Googleマップから検索してもらえるようにするためのMEO対策、SNS戦略、自社サイトでの予約受付なども駆使して、ポテンシャルを高めるようにしています。



日本人が気づけない「穴場」をチェック
――これから民泊施設を新たに展開するとして、どういう場所に関心を持っていますか。
Tak:日本で生活していると、気づかない穴場があったりします。たとえば東京の神保町です。昔から古本の街として知られていますが、近年、外国人が洋書の古本を手に入れるために、神保町を訪れているのだそうです。だったら、神保町に民泊施設をつくったら集客できるのではないかなどと考えています。
あとは青森県のむつ市ですね。恐山を目指すインバウンド観光客も増えていますが、そのための宿泊施設が、むつ市には少ないと聞いていますから、ここで民泊施設を展開するのも面白いかもしれません。
これからインバウンド観光客が、日本のどこに注目して移動するのか。そのようなことを考えて、先手を打って民泊施設をつくっていくのも、このビジネスの楽しみのひとつだと思います。
成功のカギは、運営代行会社選びとターゲットのリサーチ
民泊運営を成功させる要素として、快適な空間づくりや多言語対応、需要を捉える適切な価格設定など、複合的な運営力が求められますが、それらに力を発揮できる運営代行会社を選ぶことが重要です。また今後は、外国人旅行者に刺さるエリアをいち早くリサーチすることも、成否を分ける重要なポイントとなりそうです。
東急不動産ホールディングスグループの「ReINN(リイン)」では、民泊の参入戦略の設計から、物件購入、融資開業、運営体制の構築、出口戦略までを統合的に支援し、あらゆる人が手軽に宿泊事業を運営できる仕組みを提供しています。

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