日本の「空き家」を新たなアセットクラスに…「ホームシェアリングローン」で目指す、民泊事業の活性化

空き家や戸建てを民泊(ホームシェアリング)や賃貸として活用する際の物件購入費や、リフォーム費用に利用できる専門ローン、「ホームシェアリングローン(有担保型)」。日本に眠る空き家・戸建を、価値を生み出す資産として再生すべく、オリコと東急不動産が開発しました。

提供開始から1年、空き家を民泊に利活用する際の「資金調達の壁」を崩し、市場の健全化と地域活性化に挑む両社の取り組みについて、株式会社オリエントコーポレーション金融法人営業推進部長・理事の櫻井徹氏に伺いました。

この記事の執筆者

ReINN

■ インタビュ-協力
株式会社オリエントコーポレーション
理事・金融法人営業推進部長 櫻井 徹
1992年4月 現、株式会社みずほ銀行入行。国内勤務を経て、欧州を中心に10年程度を海外で勤務。その後本部プロダクツ・シンジケーション部門、金融法人営業(機関投資家、地域金融機関)等、幅広く担当。2020年11月より株式会社オリエントコーポレーション金融法人営業推進部長として、金融機関、取引先および地域ごとの課題やニーズを幅広く、またタイムリーに捉え、多彩な外部ネットワークをいかした解決策の提供に取組んでいる。

ReINN

■ この記事の執筆者
ReINN株式会社/東急不動産ホールディングスグループ
民泊メディア編集部 マーケティングマネージャー
民泊領域に特化した専門編集チームとして、行政手続き・運営ノウハウ・物件選定など、開業から運営・売却までを一気通貫でサポートする情報を発信。営業現場で蓄積された実データと最新トレンドを基に、オーナーの意思決定を支えるコンテンツを企画・編集している。

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目次

空き家に対する融資を最大1億円まで可能に

――「ホームシェアリングローン(有担保型)」の取扱いを開始してから1年が経過しました。これまでは、民泊を対象にしたローン供与の難しさが指摘されてきましたが、実現化の仕組みをお聞かせください。

櫻井:一般的に、ワンルームマンションなどの投資用物件を購入する場合、自己資金の不足分は金融機関から借り入れますが、民泊への利活用の目的で空き家を購入する場合、空き家や築古物件は評価額が伸びにくく、担保に取りづらいことから、必要資金を調達できないという問題がありました。何とか担保評価ができても、貸し出せる金額は担保価値に対して半分以下でしかなく、担保評価額が1億円の物件でも、貸し出せる金額は3,000万円~4,000万円が限界だったのです。

株式会社オリエントコーポレーション 理事/金融法人営業推進部長 櫻井徹氏

私たちは2023年、空き家活用株式会社と連携し、空き家の購入費用からリフォーム・修繕費用など、不動産関連の様々な資金ニーズに対応可能な「アキカツローン」を開発しました。これはクラウドローンの仕組みを通じて、金融機関から空き家の購入、リフォーム、解体資金などの融資を受けられるもので、私たちはそのローンに対する保証を行うことで、空き家融資を可能にしました。

アキカツローンの融資限度額は1,000万円ですが、昨年から取り扱いがスタートした「ホームシェアリングローン(有担保型)」では、最大1億円までの空き家に対する融資を実現しています。 このローンは民泊のワンストップサービスを展開する、東急不動産ホールディングス傘下のReINNが、安定した利回りを見込めると判断した1都3県の物件を対象としています。ReINNによる事業性評価と、私たちが長年の信販事業で蓄積してきた3,000万人という膨大な顧客の過去データ、そしてこれまで培ってきた属性与信のノウハウを組み合わせることで、従来よりも大きな融資枠の設定・保証を可能にしました。

既存ストックである「空き家」の正しい利活用を目指す

――オリコが空き家融資に対する保証を供与することで、民泊事業に参入した狙いを教えてください。

櫻井: 現在の日本には900万戸もの空き家があり、このうち385万戸が未流通です※1。そして2038年には、空き家の実数が2,303万戸と、実に3軒に1軒が空き家になるとの可能性も指摘されており※2、それに伴い未流通の空き家もさらに増加すると推察されます。

※1 出所:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」より
※2 出所:野村総合研究所『2040年の住宅市場と課題-迫力を欠くストックシフト、本腰を入れた取組が必要-』より

空き家の増加は景観、治安などの面からも望ましくなく、そのため空き家を民泊施設に利活用する人が増えれば、空き家増加のスピードを緩和させることができると考えています。

しかし、「違法民泊」という言葉も聞かれるように、一部の不法な事業者によるネガティブイメージもあります。自治体によっては厳しい規制を敷いているところも少なくありません。

一方で、日本に来るインバウンド観光客は年々ペースを上げて増加しており、2025年の訪日外客数は4,268万人と、過去最多です。それに伴い、宿泊需要が年々拡大しているのです。

日本国内で宿泊施設を新設できればいいのですが、建築費・人件費が高騰している今、新規の宿泊施設を増やすのが困難な状況です。だからこそ、既存のストックである空き家などを正しく利活用することが求められており、その点は国土交通省の方針とも一致しています。

ホームシェアリングを賃貸不動産のようなアセットクラスとして世の中に流通させることがReINNのミッションであり、そのために必要なことは「民泊市場の健全化・正常化」なのです。

これから本格稼働のフェーズ、非常に大きい潜在的需要を見込む

――「ホームシェアリングローン(有担保型)」の取扱いがスタートして1年3カ月が経過しました。現時点における利用状況はいかがでしょうか。

櫻井:民泊物件は、物件の選定・購入からリフォームによる施設の完成、実際に営業を開始するまでに3〜6カ月ほどの期間が必要なので、私たちが保証を出してから営業開始までのタイムラグがあります。そのため、現時点で融資を実行したもので営業を開始したケースは数件です。

ただ、すでに審査を通過した件数は10件を超えており、金額ベースでは12億円前後に達しています。現在の平均融資額は1件あたり約8,000万円ですので、10件集まれば8億円という規模感になります。これまでは大々的な広告を出さずにプロジェクト的に進めてきましたが、まさにこれから本格始動していくフェーズです。

私たちは、2030年代の半ばには、民泊関連融資の保証残高が軽く1,000億円に達すると見込んでおり、潜在的に非常に大きな需要があるマーケットであると考えています。

高額所得者のみならず、より幅広い層への周知を目指す

――利用者はどのような方を想定していますか。また実際に利用されている方のセグメントも合わせて教えてください。

櫻井:想定しているのは、これから民泊事業を始めたい方、二地域居住を考えている方です。商品性状の顧客対象としては、借入時の年齢が満25歳以上65歳未満、完済時の年齢が81歳未満の個人で、提携金融機関の条件を満たし、オリコの保証が受けられる方になります。

さまざまなお問い合わせをいただいておりますが、興味深いのは、利用される方々の意識の高さです。単純な不動産投資であれば、都心部のマンションが選択肢になるところを、あえて空き家を買おうとしているのはなぜか。そこには、国が後押ししている「二地域居住」「空き家活用」「地域活性化」への貢献という目的を持つ方が多いからではないかと考えています。相談に見えた方の平均年収の高さからも、それがうかがえるように思います。 今後、この商品の認知度が広まっていくことで、より幅広い方々に周知され、高額所得者の方のみならず、利用者が拡大していくものと考えております。

地域活性化への効果、災害時の仮設住宅への提供も

――どのようなメリットの提案が、民泊のイメージ向上につながると思われますか?

櫻井:インバウンド観光客への宿泊施設提供や、交流人口の増加による経済活性化への寄与はもちろんですが、やはり地域活性化に必要不可欠なサービスになるという点でしょう。旅館のように食事を提供しないため、宿泊客による地域の飲食店利用で地元が潤うといった経済効果が期待できます。

また、日本は地震をはじめとする自然災害が非常に多く、対策が不可欠です。

私たちは今、「スムヤドスム」という業界横断的なプロジェクトに関わっていますが、これは「空き家活用」「事前防災」「観光」「二地域居住」をすべて掛け合わせた、社会貢献的な補助の仕組み・インフラ作りです。

通常時は民泊やインバウンド、二地域居住の拠点として人を呼び込んでおき、万が一その地域で大規模な災害が発生した場合には、事前に登録してある、それらの民泊物件を都道府県が借り上げ、いわゆる「仮設住宅」として被災者に提供します。

災害時に「住める状態の家(民泊物件)」へ速やかに被災者を誘導でき、その間の月々の家賃は国が支払うという、全国を跨いだセーフティネットで、巨大地震が想定される日本において必要不可欠な仕組みになります。

「空き家対策としての民泊事業の活性化を通じて、地方経済の復活に寄与したい」(櫻井氏)

このように、私たちが空き家対策に端を発した民泊事業をサポートしているのは、もちろん将来のマーケットに対する期待もありますが、オートローンや信販事業を通じて日本全国に多数のお客様を抱えている私たちとしては、空き家対策としての民泊事業の活性化を通じて、地方経済の復活に寄与したいという想いもあります。

民泊で「空き家」「未活用不動産」に新しい価値を

――「ホームシェアリングローン」に関心を持つ読者へメッセージをお願いします。

櫻井:民泊は単なる宿泊事業ではなく、空き家や未活用不動産に新しい価値を持たせる選択肢のひとつです。初めての方にとっては、資金面、制度面、運営面で不安があるのは当然のことですが、私たちはReINNと共に、ローンだけでなく物件の選定、開業、運営まで含めて相談に乗れる体制を整えています。 少しでも関心のある方は、情報収集の一歩としてお気軽にご相談ください。

空き家活用の取り組みを一般投資家にも

これからの日本における民泊は、不動産投資の一形態ではなく、地域活性化や災害時のセーフティネットといった、大切な役割が期待されます。眠っている資産を利活用することで、収益と地域貢献の両立を目指すことができそうです。

東急不動産ホールディングスグループの「ReINN(リイン)」では、民泊の参入戦略の設計から、物件購入、融資、開業、運営体制の構築、出口戦略までを統合的に支援し、あらゆる人が手軽に宿泊事業を運営できる仕組みを提供しています。

民泊物件の売買に強い不動産会社や、民泊ローンの提供が可能な金融機関との連携、全国の住宅宿泊管理業者とのネットワークを駆使し、収益性と節税のバランスを考慮した安定的な運営をサポートいたします。

「民泊を始めたいものの、何から始めたらいいかわからない…」「既に運営をしていて、収益を改善したい…」とお悩みの方は、まずはReINNへお気軽にご相談ください。

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