民泊を開業する際、清掃を自分で行うか業者に依頼するかは、運営の負担と収益性を大きく左右する判断です。「コストを抑えたいが時間がない」「業者に頼みたいが費用が心配」など、多くの開業予定者が悩むポイントです。
本記事では、民泊清掃の3つの選択肢(内製化・外注・業務委託)について、判断基準とメリット・デメリットを実務的に比較します。自分の状況に合った清掃方法を選ぶための判断材料としてご活用ください。
この記事でわかること
- 民泊清掃を業者にまかせるか、自分で行うかの判断基準
- 3つの清掃パターンのメリット・デメリット比較

■この記事の執筆者
ReINN株式会社/東急不動産ホールディングスグループ
民泊メディア編集部 マーケティングマネージャー
民泊領域に特化した専門編集チームとして、行政手続き・運営ノウハウ・物件選定など、開業から運営・売却までを一気通貫でサポートする情報を発信。営業現場で蓄積された実データと最新トレンドを基に、オーナーの意思決定を支えるコンテンツを企画・編集している。

■この記事の執筆者
ReINN株式会社/東急不動産ホールディングスグループ
民泊メディア編集部 マーケティングマネージャー
民泊領域に特化した専門編集チームとして、行政手続き・運営ノウハウ・物件選定など、開業から運営・売却までを一気通貫でサポートする情報を発信。営業現場で蓄積された実データと最新トレンドを基に、オーナーの意思決定を支えるコンテンツを企画・編集している。
【免責事項】
・本記事における「民泊」とは、住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業、旅館業法に基づく簡易宿所営業、および特区民泊制度のいずれも含む総称です。
・本記事の内容は、2025年12月時点で確認可能な法令・制度・サービス内容等に基づき作成しています。最新の法令や制度、各サービスの詳細については、必ず各自治体や事業者の公式ホームページにてご確認ください。
なぜ清掃方法の選択が重要なのか
民泊運営において、清掃は宿泊者の満足度と収益性の両面に直結する重要な業務です。清掃方法の選択を誤ると、以下のような問題が発生する可能性があります。
開業前に自分の状況を客観的に分析し、適切な清掃方法を選択することが、安定した民泊運営の第一歩となります。
民泊清掃の3つのパターン
民泊の清掃方法は、運営者の関与度によって大きく3つのパターンに分類されます。
【パターン1】自身で対応
運営者自身が清掃業務をすべて行う方法です。主に、チェックアウト後の全室清掃、リネン交換、消耗品補充、設備確認、清掃記録の作成など、清掃に関わるすべての業務を自分で行います。
- 物件が自宅・職場から30分以内
- 物件数が1〜2戸程度
- 稼働率が50%以下で清掃頻度が限定的
- 初期コストを最小限に抑えたい
- 清掃品質を自分でコントロールしたい
【パターン2】清掃のみ外注(部分委託)
清掃業務のみを専門業者に委託する方法です。清掃業者が客室清掃、リネン交換、消耗品補充、清掃報告を担当します。運営者は予約に合わせて清掃スケジュールを調整し、清掃完了を確認する役割を担います。
- 清掃以外のことは自分でコントロールしたい、費用を押さえたい
- 本業が忙しく清掃に時間を割けない
- 複数物件を運営している
- 物件が遠方にある
- 稼働率が高く頻繁な清掃が必要
- 一定の清掃品質を維持したい
【パターン3】清掃以外も含め外注(完全委託)
清掃だけでなく、予約管理、ゲスト対応、トラブル対応など、民泊運営全般を管理会社に委託する方法です。家主不在型では、法令上住宅宿泊管理業者への委託義務があるため、その場合は必須となります。
- 複数物件を運営し管理が複雑
- 本業に専念したい
- 物件が遠方にあり自分で対応できない
- 運営全体をプロに任せたい
3つのパターンのメリット・デメリット比較
それぞれの清掃パターンには特有のメリットとデメリットがあります。自分の状況や優先事項に照らし合わせて検討することが重要です。
【パターン1】内製化のメリット・デメリット
内製化の最大の魅力はコスト削減ですが、時間的・体力的な負担とのバランスを考慮する必要があります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 外注費用が不要で運営コストを大幅削減 | 清掃のたびに現地に行く必要があり時間的拘束が大きい |
| 自分の基準で品質管理でき細部まで配慮可能 | 体力的負担が大きく継続が困難になる可能性 |
| 物件状態を常に把握し設備不具合を早期発見 | 本業との両立が難しく清掃が負担になる |
| 清掃タイミングを柔軟に調整可能 | 稼働率が上がると対応しきれなくなる |
コスト目安
- 清掃用具の初期投資: 2〜3万円
- 月間消耗品費: 5,000〜10,000円
- 外注費用(年間): 約90万〜150万円の削減が見込まれる(1LDK・月15回清掃の場合)
民泊清掃を自分で行いたい方は下記の記事もご参照ください。

【パターン2】部分委託のメリット・デメリット
部分委託は時間を買う選択肢です。費用はかかりますが、本業や他の業務に集中できる点が最大の価値です。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 清掃業務から解放され本業や他業務に集中できる | 清掃費用が継続的に発生し運営コスト増加 |
| プロによる一定水準の品質が期待できる | 業者の技術にばらつきがあり品質が不安定な場合も |
| 複数物件運営でも対応可能 | 清掃スケジュール調整が必要で急な予約に対応しづらい |
| 繁忙期でも安定した清掃体制を維持 | 信頼できる業者を見つけるまでに時間がかかる |
費用相場(1回あたり)
| 間取り | 広さ | 清掃料金 |
|---|---|---|
| ワンルーム・1K | 20〜30㎡ | 3,000〜5,000円 |
| 1LDK・2K | 40〜50㎡ | 5,000〜8,000円 |
| 2LDK・3K | 60〜70㎡ | 8,000〜12,000円 |
| 3LDK以上 | 80㎡〜 | 12,000〜20,000円 |
※リネン洗濯(500〜1,000円/セット)、消耗品補充(1,000〜2,000円)などは別途
民泊清掃を部分委託したい方は下記の記事もご参照ください。

【パターン3】完全委託のメリット・デメリット
完全委託は、民泊運営を事業として捉え、自分は投資家としての役割に徹する選択肢です。手数料は高いですが、運営の負担はほぼゼロになります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 清掃含む運営業務全般を任せられる | 委託手数料が発生するため、手残りの利益は低下 |
| プロによる安定した運営が期待できる | 運営方針や細かい対応を自分でコントロールしにくい |
| 24時間対応可能な業者もありトラブル時も安心 | 管理会社の方針に不満があっても変更が難しい |
| 法令遵守や行政対応も任せられる | 契約内容によっては想定外の追加費用発生も |
費用相場
- 売上連動型: 宿泊売上の15〜30%
- 固定費型: 月額30,000〜100,000円(物件規模による)
- 併用型: 固定費(月額20,000円)+売上の15%
民泊運営全般を完全委託したい方は下記の記事もご参照ください。

自分に合った清掃方法の選び方
民泊清掃の内製化・委託判断表
以下の質問に答えることで、適した民泊清掃の方法が見えてきます。
| 質問 | 内製化 | 部分委託 | 完全委託 |
|---|---|---|---|
| 法令上の要件確認 | 家主居住型は推奨 | 家主居住型・不在型両方で可能 | 家主不在型の場合必須 |
| 運営規模の確認 | 物件数2戸以下 | 左記に該当しない場合推奨 | 左記に該当しない場合推奨 |
| 物件との距離 | 自宅・職場から30分以内の場合は推奨 | 左記に該当しない場合推奨 | 左記に該当しない場合推奨 |
| 時間的余裕 | 清掃に週数回、各2〜3時間を割ける場合は推奨 | 左記に該当しない場合推奨 | 左記に該当しない場合推奨 |
| 優先事項 | コスト削減が最優先の場合、内製化を推奨 | 効率性が重要な場合、外部委託を推奨 | 効率性が重要な場合、外部委託を推奨 |
清掃業者選びの基本ポイント
外注化を選択する場合、業者選びが運営の成否を左右します。料金だけで判断すると清掃品質が安定しなかったり、スケジュール調整に苦労したりする可能性があるため、以下のポイントを総合的に評価して信頼できる業者を見つけることが重要です。
確認すべき5つのポイント
民泊清掃の経験年数、対応件数、プラットフォームでの評価を確認しましょう。一般的な家事代行とは異なる民泊特有の要件(短時間での清掃完了、リネン交換、消耗品補充など)を理解している業者を選ぶことが重要です。可能であれば、実際の清掃事例や写真を見せてもらったり、同じエリアで民泊を運営している他のオーナーからの評判を聞いたりすることで、より具体的な実績を把握できます。
基本料金に含まれる内容、オプション料金(リネン洗濯、消耗品補充、ゴミ処理など)、緊急対応や繁忙期の割増料金などを事前に明確に確認します。見積もりを複数業者から取得し、料金だけでなくサービス内容も詳細に比較することをお勧めします。料金が極端に安い業者は、サービスの質が低かったり、後から追加費用を請求されたりする可能性があるため、安さだけで判断せず総合的に評価することが重要です。
当日や翌日の清掃依頼に対応可能か、チェックアウトからチェックインまでの短時間(3〜4時間程度)で清掃できるかを確認します。特に繁忙期や週末は予約が集中するため、その時期でも安定して対応できる体制があるかどうかが重要です。また、複数物件を運営している場合は、同日に複数物件の清掃が可能か、スケジュール調整の方法(電話、メール、専用アプリなど)が自分にとって使いやすいかも確認しておきましょう。
清掃スタッフの研修制度や教育体制、清掃完了後の責任者によるチェック体制、写真付きレポートの有無、損害保険への加入状況を確認しましょう。品質に問題があった場合の対応方針(無償での再清掃、返金など)も事前に明確にしておくことで、トラブル時の対処がスムーズになります。また、清掃スタッフが固定されているか、毎回異なるスタッフが来るかによっても品質の安定性は変わるため、この点も確認しておくと良いでしょう。
連絡手段(電話、メール、LINE、専用アプリなど)、緊急時の連絡体制(24時間対応の有無)、レスポンスの速さを確認します。初回問い合わせ時の対応の丁寧さや返信の速さで、業者の姿勢をある程度判断できます。民泊運営では急なトラブルや変更が発生することも多いため、迅速かつ柔軟に対応してくれる業者を選ぶことが、長期的な関係構築において重要です。
よくある質問
- 清掃業者の料金相場はどのくらいですか?
物件の広さによって異なりますが、ワンルーム・1K(20〜30㎡)で3,000〜5,000円、1LDK・2K(40〜50㎡)で5,000〜8,000円程度が目安です。リネン洗濯や消耗品補充は別料金となる場合が多いため、見積もり時に含まれる内容を必ず確認してください。
- 自分で清掃する場合と業者に依頼する場合、どちらが良いですか?
一概には言えず、運営者の状況によります。物件が1〜2戸で近く、稼働率50%以下であれば内製化が現実的です。複数物件運営、本業が忙しい、稼働率が高い場合は外注化が適しています。本記事の判断フローチャートを参考に、自分の状況を分析してください。
- 家主不在型では清掃業者との契約は必須ですか?
住宅宿泊事業法では、家主不在型の場合、国土交通大臣の登録を受けた住宅宿泊管理業者への委託が義務付けられています。清掃だけを清掃業者に依頼するのではなく、管理業務全般を包括的に委託する必要があります。
- 開業当初はどの方法を選ぶべきですか?
開業当初は稼働率が安定しないため、内製化でスタートしてコストを抑え、稼働率が上がってきたら外注化に移行する段階的なアプローチが有効です。ただし、家主不在型の場合は法令上の義務があるため、最初から管理業者への委託が必要です。
- 清掃方法は途中で変更できますか?
はい、運営状況に合わせて変更可能です。半年に一度程度、現在の清掃方法が最適かを見直すことをお勧めします。稼働率の変化、本業の状況、体力的な負担などを考慮して柔軟に調整しましょう。
民泊清掃ならReINNにご相談を
民泊清掃の方法選択は、運営の成否を左右する重要な判断です。ReINNは、民泊運営における清掃体制の最適化について、中立的な立場から専門的なアドバイスを提供しています。
- 物件の特性に合わせた清掃体制の構築支援
- 完全委託や部分代行の適正業者のご紹介
- コスト最適化アドバイス
ReINNの強みは、民泊運営全般にわたる豊富な知識と中立的な立場からのアドバイスです。清掃の内製化について迷いや不安がある方は、まずは無料相談をご活用ください。


