民泊運営を検討する際、「どの物件なら民泊として営業できるのか」という問題に直面します。本記事では、民泊運営を検討している物件オーナーや投資家の方に向けて、民泊可能物件の定義から具体的な探し方、チェックすべきポイント、物件タイプやエリアごとの特徴まで、実務的な観点から解説します。
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【免責事項】
・本記事における「民泊」とは、住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業、旅館業法に基づく簡易宿所営業、および特区民泊制度のいずれも含む総称です。
・本記事の内容は、2025年11月時点で確認可能な法令・制度・サービス内容等に基づき作成しています。最新の法令や制度、各サービスの詳細については、必ず各自治体や事業者の公式ホームページにてご確認ください。
民泊可能物件とは
民泊可能物件とは、法律上の要件を満たし、かつ物件固有のルールにも抵触しない、民泊営業が認められる物件を指します。
法律上の要件を満たしている
民泊営業を行うためには、主に「住宅宿泊事業法(民泊新法)」「旅館業法」「国家戦略特区における特区民泊」のいずれかに基づいて届出・許可・認定を取得する必要があります。詳細に関しては他の記事を参照ください
どちらの法律で営業するかの判断
どの制度で営業するかは、物件の立地、構造、投資規模、事業計画などを総合的に判断して決定する必要があります。
物件固有のルールに抵触していない
法律上の要件を満たしていても、物件固有のルールで民泊が禁止されている場合があります。
| 項目 | 戸建ての場合 | 分譲マンションの場合 | 賃貸物件の場合 |
|---|---|---|---|
| 主な確認事項 | ・建築基準法上の用途地域 ・住宅ローンの規約 ・近隣住民への配慮 | ・管理規約の確認 ・理事会や総会での承認 | ・貸主(オーナー)の承諾 ・転貸借禁止条項の有無 |
| 住宅ローン/契約上の注意点 | ・住宅ローンは本人または家族の居住を目的とした融資 ・多くの金融機関では民泊営業を禁止 ・事前に金融機関に相談し、事業用ローンへの借り換えや承諾の取得が必要 | ・2018年以降、多くの管理組合が民泊を明確に禁止する規約改正を実施 ・規約で禁止されていない場合でも、理事会や総会での承認が必要な場合がある | ・一般的な賃貸借契約には転貸借禁止条項が含まれている ・違反すると契約解除の理由になる ・法令上、転借の承諾を証する書面の提出が義務付けられている |
| 必須対応 | 金融機関への事前相談と承諾取得 | 管理組合への事前確認と書面による承諾取得 | 貸主からの書面による承諾取得 |
| その他の注意点 | 比較的自由度が高い | 住民とのトラブルリスクに注意 | 原状回復義務があるため、設備投資の回収リスクも考慮が必要 |
民泊物件探しで確認すべき7つのチェックポイント
①営業スタイルの決定(どの法律・制度で営業するのか)
物件探しを始める前に、まず「住宅宿泊事業法」「旅館業法」「特区民泊」のどれで営業するかを決定することが重要です。
②収益性の事前評価(民泊としての需要があるのかの確認)
物件の収益性を事前に評価することは、投資判断において極めて重要です。
立地分析
主要駅・空港からのアクセス、周辺の観光資源、競合物件の状況を確認します。民泊ポータルサイトで検索すると、競合の価格帯や稼働状況が把握できます。
需要予測
観光庁の宿泊旅行統計調査、民泊ポータルサイトのデータ、地域のイベントカレンダーなどを活用します。
収支シミュレーション
想定収入(稼働率×単価×営業日数)から、固定費(管理委託費、保険料、光熱費基本料金など)と変動費(清掃費、消耗品費など)を差し引いた収益を試算します。ただし、これらの数値は立地や物件タイプによって大きく変動するため、あくまで目安として複数のシナリオを想定することが重要です。
収支シミュレーション例
以下は一般的な想定例です。実際の数値は立地・物件タイプにより大きく変動します。
| ケース1:都心マンション(住宅宿泊事業法) | ケース2:地方戸建て(旅館業法) | |
|---|---|---|
| 初期改装費 | 100万円 | 300万円 |
| 月間想定稼働率 | 50%(年間108日) | 40%(年間146日) |
| 1泊単価 | 36,000円 | 40,000円 |
| 年間売上 | 約600万円 | 約670万円 |
| 年間経費 | 約360万円(管理費、清掃費、光熱費等) | 約420万円 |
| 年間収益 | 約280万円 | 約200万円 |
※上記はあくまでReINNの試算例です。実際の収益は市場動向・競合状況により変動します。
③地域の条例(上乗せ条例)の確認
住宅宿泊事業法では、地方自治体が独自に制限を設けることが認められています。
自治体によっては、営業期間の制限(特定の地域・期間で営業を制限)、営業区域の制限、家主居住要件、事前説明会の義務化などが設けられている場合があります。ただし、法の趣旨に反する年間全期間の制限(いわゆるゼロ日規制)は認められません。
確認方法
自治体の公式ウェブサイト、観光庁の一覧ページ(https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/overview/ir/list.html)、または保健所・住宅宿泊事業担当窓口への問い合わせで確認できます。特に住居専用地域での営業を検討している場合は、厳しい制限が設けられている可能性が高いため注意が必要です。
④建築基準法・消防法を満たすか
建築基準法上の確認事項
用途地域と用途制限、建築物の用途変更、既存不適格建築物について確認が必要です。旅館業法で営業する場合、住宅専用地域では原則営業ができません。また、一定規模以上の用途変更を行う場合は確認申請が必要になります。
消防法上の確認事項
民泊営業を行う建物には、その規模や構造に応じて消防用設備等の設置が義務付けられています。主な設備として、自動火災報知設備(延べ面積300㎡未満の場合は特定小規模施設用で可)、消火器、誘導灯、防炎物品などがあります。消防設備の設置基準は建物の構造や規模によって異なるため、物件取得前に必ず所轄の消防署に相談し、必要な設備と概算費用を確認することが推奨されます。
参考:消防庁「民泊における消防法令上の取扱い等について」(平成30年3月)
⑤管理規約・賃貸契約の確認
前述のとおり、分譲マンションの管理規約、賃貸物件の賃貸借契約において民泊が禁止されていないか、必ず書面で確認し、必要に応じて承諾を得る必要があります。
⑥住宅ローン規約の確認
住宅ローンで購入した物件の場合、金融機関の承諾なく民泊営業を行うと契約違反となる可能性があります。事前に金融機関に相談してください。
民泊物件の探し方
民泊専門の物件紹介サイトは、民泊営業が可能な物件のみを掲載しているため効率的です。掲載物件は事前スクリーニング済みで、民泊関連情報や運営サポート情報が充実しています。ただし、掲載物件数は一般の不動産サイトに比べて少ない傾向があります。
大手の不動産ポータルサイトでは、「民泊可」「民泊相談可」などのキーワード検索や、投資用物件カテゴリから民泊可能物件を探せます。
民泊運営代行業者や民泊専門の不動産仲介業者を通じて物件を探す方法もあります。専門知識の活用、独自の物件情報ネットワーク、ワンストップサービスなどのメリットがあります。
地方自治体が運営する空き家バンクを活用して、古民家などの民泊物件を探す方法もあります。リーズナブルな価格や補助金・支援制度が魅力です。
民泊物件タイプ・エリアの特徴
民泊物件タイプ別の特徴
| 戸建て | マンション | 賃貸物件 |
|---|---|---|
| 一棟貸し運営が可能で、プライバシーが確保され、ファミリーやグループ旅行者に人気があります。 庭やBBQスペースなどの付加価値を提供でき、単価設定も高めに設定できますが、初期投資額や維持管理コストが大きくなる傾向があります。 | 駅近など立地の良さ、セキュリティや設備の充実が魅力ですが、管理規約の制約が大きく、住民とのトラブルリスクや共益費・修繕積立金の負担があります。 | 初期投資を最小化でき、撤退も容易ですが、賃料の固定費負担や貸主との関係維持、原状回復リスクに注意が必要です。 |
エリア別の特徴
| 都心エリア | 地方エリア | 観光地エリア |
|---|---|---|
| ビジネス需要や通年需要が見込めますが、競合が多く、物件価格・賃料が高額です。 | 物件取得コストが低く競合が少ないですが、季節変動が大きく、集客の工夫が必要です。 | 高い宿泊単価やインバウンド需要が魅力ですが、季節変動が大きく、規制強化の傾向があります。 |
人気の物件タイプとエリア
一棟貸し戸建て、駅近マンション、古民家・町家が人気の物件タイプです。人気エリアとしては、東京都、大阪府、京都府、沖縄県、北海道などが挙げられます。
予算と利益のバランスを考慮し、都心マンション(初期投資300万円〜1,000万円)、都心戸建て(1,000万円〜)、地方物件(100万円〜500万円)など、自身の投資規模に合った選択をすることが重要です。
よくある質問
- 上乗せ条例があるかはどう調べればよいですか?
物件所在地の都道府県または市区町村の公式ウェブサイトで確認できます。観光庁のウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/overview/ir/list.html)にも各自治体の条例へのリンク集が掲載されています。不明な場合は、保健所または住宅宿泊事業担当窓口に直接問い合わせることが確実です。
- 管理規約で民泊が禁止されているかどうか、どこで確認できますか?
管理組合または管理会社に問い合わせることで閲覧できます。購入検討時は、不動産仲介業者を通じて重要事項説明書とともに管理規約の写しを入手できます。規約に明記されていない場合でも、理事会決議や総会決議で禁止されている場合があるため、必ず管理組合に確認してください。
民泊物件選びならReINNにご相談を
民泊物件の選定から運営開始までには、法律・条例の確認、物件の適性評価、収支計画の立案など、多岐にわたる専門知識が必要です。
ReINNでは、以下のサポートを提供しています。
- 物件調査・適性診断
- 法令・条例の確認サポート
- 収支シミュレーション
- 届出・許可取得支援
- 運営開始後のサポート
ReINNは、中立的な立場から民泊事業全般に関する専門的なアドバイスを提供し、物件探しから届出・許可取得、運営開始後のサポートまで、ワンストップでご相談いただけます。
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