民泊清掃を代行業者に頼むコツは？委託の流れと費用の目安を解説

2025-12-14

民泊運営において、清掃は宿泊者の満足度を左右する重要な業務です。専門業者に清掃を委託することで、品質の担保や運営効率を上げられる可能性があります。

本記事では、民泊清掃代行サービスの基礎知識から料金相場、業者選定のポイント、そして収益最大化につなげる運営戦略まで、実務的な観点から詳しく解説します。清掃代行の導入を検討している民泊オーナーの方は、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

民泊清掃を業者にまかせるか自分でできるかの判断材料
3つの清掃パターンのメリット・デメリット比較
自分に合った清掃方法を選ぶための具体的な基準

■この記事の執筆者

ReINN株式会社／東急不動産ホールディングスグループ
民泊メディア編集部　マーケティングマネージャー
民泊領域に特化した専門編集チームとして、行政手続き・運営ノウハウ・物件選定など、開業から運営・売却までを一気通貫でサポートする情報を発信。営業現場で蓄積された実データと最新トレンドを基に、オーナーの意思決定を支えるコンテンツを企画・編集している。

■この記事の執筆者

【免責事項】
・本記事における「民泊」とは、住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業、旅館業法に基づく簡易宿所営業、および特区民泊制度のいずれも含む総称です。
・本記事の内容は、2025年12月時点で確認可能な法令・制度・サービス内容等に基づき作成しています。最新の法令や制度、各サービスの詳細については、必ず各自治体や事業者の公式ホームページにてご確認ください。

民泊清掃代行サービスとは？基本知識と必要性

民泊清掃代行サービスとは、民泊施設の清掃業務を専門業者に委託するサービスです。ゲストのチェックアウト後からチェックインまでの短時間で、部屋を清潔な状態に整える作業を代行します。

民泊清掃と一般清掃の違い

民泊清掃は、一般的なハウスクリーニングとは異なり、以下の点で専門性が求められます。

時間的制約
　ゲストのチェックアウトから次のチェックインまでの僅か数時間で、全ての清掃と準備を
　完了させるスピードが不可欠です。
高い清掃頻度
　稼働率の高い施設では毎日清掃が必要になることもあり、安定して対応できる体制が
　求められます。
備品管理と補充　
　タオルやシーツの交換、アメニティ類の補充、ゴミ処理など、清掃以外のホテルライクな
　管理業務も含まれます。
厳格な品質基準
　ゲストレビューに直結するため、細部にまで気を配った高いレベルの清潔さが要求
　されます。

家主不在型民泊における清掃代行の重要性

住宅宿泊事業法（民泊新法）では、家主が施設に居住しない「家主不在型民泊」の場合、住宅宿泊事業法第11条により、登録を受けた住宅宿泊管理業者に管理業務を委託することが義務付けられています。

この管理業務には清掃も含まれますが、清掃のみを民間清掃業者に委託する場合でも、全体の管理責任は登録住宅宿泊管理業者が負います。

この管理業務には施設の清掃も含まれるため、適切な清掃体制の構築は法令遵守の観点からも必須です。また、物件が自宅から遠い場合、自身で清掃に通う時間や交通費といったコストを考慮すると、専門業者に委託する方が効率的と言えるでしょう。

※清掃業者への委託と住宅宿泊管理業者への委託は異なります。家主不在型では必ず登録住宅宿泊管理業者に管理業務全体を委託する必要があります

清掃品質がゲストレビューに与える影響

民泊プラットフォーム（Airbnbなど）では、ゲストが宿泊後に施設を評価する仕組みがあり、「清潔さ」は主要な評価項目の一つです。清掃品質の良し悪しは、レビュースコアに直接的な影響を与えます。

清掃が丁寧であるほど、

「高評価レビューの獲得」→「検索順位の上昇」→「予約率の向上」

という好循環を生み出します。清潔で快適な空間はゲストの満足度を高め、リピーター獲得や宿泊単価の向上にも繋がるため、清掃は単なるコストではなく収益を伸ばすための重要な投資です。

清掃代行サービスの作業内容と範囲

清掃代行サービスに依頼できる作業内容を理解することは、適切な業者選定と効果的なサービス活用のために重要です。

基本清掃に含まれる作業一覧

基本清掃には、一般的に以下のような作業が含まれます。

居室・リビング	掃除機がけ、床の拭き掃除、家具・家電の拭き掃除、ベッドメイキング
キッチン	シンク・コンロの清掃、食器洗浄、冷蔵庫・電子レンジ内外の拭き掃除
バス・トイレ	浴槽・便器・洗面台の清掃・除菌、鏡の拭き掃除
玄関・廊下	掃き掃除、拭き掃除
共通作業	ゴミの回収・分別、忘れ物チェック、清掃後の写真報告

※作業内容は業者によって異なるため、契約前に必ず確認してください。

オプションサービスの種類と内容

基本清掃に含まれない作業については、オプションサービスとして提供されることが一般的です。必要に応じて追加することで、より包括的な清掃・管理サービスを受けることができます。

リネンサプライ： シーツやタオル類を業者が用意し、洗濯・交換まで一括して行うサービス
です。リネンの購入や洗濯の手間が省けます。
アメニティ補充代行： シャンプーや歯ブラシ、トイレットペーパーなどの消耗品を、業者が
在庫管理から補充まで代行します。
ごみ処理： ゲストが出したゴミを、自治体のルールに従って業者が代わりに処分します。

このほか、業者によってはエアコン清掃などの定期的なハウスクリーニングを提供している場合もあります。

民泊清掃代行の料金相場と費用体系

清掃代行サービスの料金は、物件の規模、エリア、清掃内容などによって大きく変動します。適切な予算計画を立てるため、料金相場を理解しておくことが重要です。

エリア別料金相場の比較

清掃料金は、地域の人件費や移動コストを反映し、立地や条件によって異なります。

東京23区：10,000円～30,000円
大阪市内： 8,000円～20,000円
その他主要都市圏（名古屋・福岡など）： 12,000円～30,000円
地方エリア： 15,000円～30,000円

※上記は30㎡程度のワンルーム物件における基本清掃の目安です。

※その他主要都市圏、地方エリアはワンルーム物件が少ないため、100㎡程度の一軒家物件における基本清掃の目安です。

物件規模・間取り別の料金目安

多くの業者は物件の面積に応じて料金を設定しています。

～30㎡： 5,000円～20,000円
～50㎡： 10,000円～25,000円
～70㎡： 15,000円～30,000円
～100㎡： 18,000円～35,000円
100㎡以上： 別途見積もり

このほか、宿泊可能人数や作業時間に応じて料金が決まる体系の業者もあります。

失敗しない清掃代行業者の選び方【5つのポイント】

最適な業者を選ぶためには、以下の5つのポイントを総合的に比較検討することが重要です。

対応エリアとサービス内容
料金の透明性と契約条件
実績・口コミと保険加入状況
緊急対応力とコミュニケーション
清掃品質の管理体制

ポイント1：対応エリアとサービス内容

自分の物件が対応エリア内かはもちろん、リネンサプライやゴミ処理など、必要なオプションサービスを提供しているかを確認します。土日祝や繁忙期の対応可否も重要なチェック項目です。

ポイント2：料金の透明性と契約条件

見積書に基本料金の範囲や追加料金が発生する条件が明記されているかを確認しましょう。料金体系が明確で、契約内容について丁寧に説明してくれる業者を選ぶことがトラブル回避の鍵です。

ポイント3：実績・口コミと保険加入状況

民泊清掃の実績が豊富か、他のオーナーからの評判は良いかをチェックします。また、万が一の物損事故に備え、損害賠償保険に加入しているかの確認は必須です。補償範囲や事故発生時の対応フローまで具体的に確認しておくと、より安心です。

ポイント4：緊急対応力とコミュニケーション

「ゲストがチェックアウト時間を過ぎても退室しない」「急な汚れで清掃が必要になった」など、不測の事態に迅速かつ柔軟に対応できるかが重要です。LINEやチャットツールなど、連絡が取りやすい手段が確保されているかも確認しましょう。

ポイント5：清掃品質の管理体制

安定した品質を保つため、清掃の担当者（自社スタッフか外注か）、適法なゴミ処理をしているか、清掃マニュアルやチェックリストの有無などを確認します。清掃完了後に写真付きの報告があるかどうかも、品質管理の指標になります。

対応エリア別清掃業者の特徴比較

業者タイプ別比較表

比較項目	全国対応業者	小エリア対応業者
メリット	サービス品質が標準化·複数エリアの物件を一括管理可能	地域特性（ゴミ出しルール等）に精通
	予約管理システムや報告アプリが充実	比較的リーズナブルな価格設定
	スタッフリソースが豊富で安定運営	柔軟で細やかな対応が期待できる
デメリット	料金が比較的高め	対応エリアが限定される
デメリット	マニュアル化により柔軟性に欠ける場合がある	繁忙期にスタッフ不足で予約が取りにくい

清掃代行導入の手順

清掃代行の導入は、以下の3ステップで進めるとスムーズです。

STEP

業者選定と比較検討

複数の業者から見積もりを取り、料金、サービス内容、対応の質を比較します。自身の物件に合った業者を2～3社に絞り込みましょう。

STEP

契約内容の確認と締結

清掃範囲、料金体系、トラブル時の対応、キャンセルポリシーなどを契約書でしっかり確認します。不明点は必ず質問し、納得した上で契約を結びましょう。

STEP

運営体制の構築

鍵の受け渡し方法（スマートロックの暗証番号共有が推奨）を決定し、清掃マニュアルや緊急時の連絡フローを業者と共有します。初回清掃には立ち会い、具体的な指示を出すと認識のズレを防げます。

鍵の受け渡し・管理方法

主な方法は以下の3つで、民泊運営ではスマートロックが最も推奨されます。

スマートロック（推奨）
　物理鍵が不要で、業者ごとに有効期限付きの暗証番号を発行できます。
　遠隔操作や入退室履歴の確認も可能で、セキュリティと利便性を高いレベルで
　両立できます。ただし、導入コストや電池切れのリスクは考慮が必要です。
キーボックス
　玄関先に鍵を保管するボックスを設置する方法。
　比較的安価ですが、定期的な暗証番号の変更が必要で、ボックス自体の盗難・破壊リスクも
　あります。
物理鍵
　業者に直接鍵を預ける最もシンプルな方法。
　コストはかかりませんが、紛失や不正複製の懸念があり、複数スタッフが関わる場合の
　管理が煩雑になりがちです。

どの方法を選択する場合でも、鍵の紛失や不正使用が発生した際の責任の所在や対応について、事前に業者と取り決め、契約書に明記しておきましょう。

清掃品質の確認・管理システム

業者に任せきりにせず、オーナー自身が品質を管理する意識も重要です。

完了報告のチェック
　業者から送られてくる清掃完了後の写真を毎回確認し、気になる点があればフィードバック
　します。
ゲストレビューの確認
　レビューの「清潔さ」の評価を定期的にチェックし、問題があれば業者と共有して改善を
　求めます。
定期的な現地確認
　可能であれば月に一度は現地を訪れ、写真ではわからない細部の清掃状況を自分の目で
　確認しましょう。

よくある質問

ゲストが部屋をひどく汚した場合、追加料金は発生しますか？: はい、多くの業者では通常の範囲を超える著しい汚れ（嘔吐物の処理、壁の落書きなど）には、特別清掃として追加料金が設定されています。この料金はまずオーナー負担となりますが、業者から提出された証拠写真をもとに、Airbnbなどのプラットフォームを通じてゲストに損害賠償を請求することが可能です。契約時に特別清掃の料金体系や報告フローを確認しておきましょう。
清掃代行を導入後、オーナーは何をすればよいのですか？: 清掃を”丸投げ”にするのではなく、業者と連携して品質を管理する役割が重要です。具体的には、「予約スケジュールの共有」「業者からの完了報告の確認とフィードバック」「ゲストレビューの分析と共有」「定期的な現地確認」などです。業者を信頼できるパートナーとして、二人三脚で運営していく姿勢が成功の鍵となります。※一部の自治体では、清掃業者の変更時に届出が必要な場合があります。詳細は物件所在地の自治体にご確認ください
連泊中のゲストがいる場合の清掃（中間清掃）はどうすればよいですか？: 中間清掃は必須ではありませんが、特に長期滞在（1週間以上など）のゲスト向けに有料オプションとして提供すると、満足度向上に繋がります。多くの清掃業者は、リネン交換やゴミ回収などをセットにした中間清掃プランを用意しています。長期滞在割引の代わりに無料サービスとして提供するなど、自身の運営スタイルに合わせて活用しましょう。
清掃品質に不満がある場合はどうすればよいですか？: まず業者に具体的な問題点を写真などで示し、改善を求めましょう。不備があった場合の再清掃などに対応してくれます。同じ問題が繰り返し発生する場合は、正式なミーティングを設定し、協議することをおすすめします。それでも改善が見られない場合は、契約内容を確認の上、業者変更を検討することも必要です。
清掃を自分で行うべきか、委託すべきか判断がつきません。: 民泊の清掃業務は日々の運営の中でも最も重要な項目の1つです。なるべくコストを削減しながら自身で清掃できる体制が構築できる場合はは内製化も可能ですが、より効率的に運営をしたい方には委託もおすすめです。
詳しい判断基準等は以下の記事で解説しているので、ご参照ください。
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