民泊ビジネスへの参入を検討している方にとって、開業にかかる費用の全体像を把握することは、事業計画を立てる上で最も重要な要素の一つです。「いくらあれば民泊を始められるのか」「どこに費用をかけ、どこを抑えるべきか」という疑問は、多くの方が抱える共通の悩みではないでしょうか。
本記事では、民泊の開業を検討している方、特にまだ具体的な費用感を掴めていない方に向けて、開業費用の実態を分かりやすくお伝えします。
この記事でわかること
- 民泊を開業するために必要なおおよその費用感
- タイプ別(物件の取得方法/申請代行の有無)の費用詳細
- 費用を抑えるための具体的な方法

■この記事の執筆者
ReINN株式会社/東急不動産ホールディングスグループ
民泊メディア編集部 マーケティングマネージャー
民泊領域に特化した専門編集チームとして、行政手続き・運営ノウハウ・物件選定など、開業から運営・売却までを一気通貫でサポートする情報を発信。営業現場で蓄積された実データと最新トレンドを基に、オーナーの意思決定を支えるコンテンツを企画・編集している。

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【免責事項】
・本記事における「民泊」とは、住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業、旅館業法に基づく簡易宿所営業、および特区民泊制度のいずれも含む総称です。
・本記事の内容は、2025年12月時点で確認可能な法令・制度・サービス内容等に基づき作成しています。最新の法令や制度、各サービスの詳細については、必ず各自治体や事業者の公式ホームページにてご確認ください。
【結論】民泊の開業費用は数十万円~数千万円以上まで様々
民泊の開業費用は、物件の取得方法や物件の状態、そして事業へのこだわりの度合いによって大きく変動します。賃貸物件で始めようとする方もいれば、物件を購入して本格的に取り組む方、さらには実家や別荘を活用して始めようとする方まで、そのアプローチは実に多様です。
一般的に、賃貸物件で小規模に始める場合は初期費用が50万円~200万円程度、物件を購入して始める場合は数千万円以上必要になることがあります。また、既に保有している物件を活用する場合でも、改修費や設備投資で100万円~500万円程度かかるケースが多く見られます。
重要なのは、目標とする収益性や事業規模に見合った適切な投資を行うことです。ここからは、それぞれのケースについて具体的な費用の内訳を詳しく見ていきましょう。
民泊開業で費用が変わる3つのパターン
①物件の取得にかかる費用
物件の取得方法は、民泊開業費用を大きく左右する最も重要な要素です。それぞれの方法にはメリット・デメリットがあり、資金力や事業計画に応じて選択する必要があります。
購入の場合
物件を購入する場合、立地や物件の規模によって費用は大きく異なりますが、都市部では以下のような相場となっています。
| エリア | 物件タイプ | 価格相場 |
|---|---|---|
| 東京23区内 | ワンルームマンション | 4,000万円~7,000万円 |
| 東京23区内 | 戸建て | 5,000万円~1億円 |
| 大阪市内 | ワンルームマンション | 2,000万円~5,000万円 |
| 地方都市 | 戸建て | 2,000万円~5,000万円 |
| 地方郊外 | 別荘 | 2,000万円~1億円 |
購入のメリットは、物件が自己資産となり、将来的な売却益も期待できる点です。また、自由にリフォームや改装ができるため、独自性のある民泊施設を作ることができます。
賃貸の場合
賃貸物件を利用する場合、初期費用は購入に比べて大幅に抑えられます。
| 項目 | 費用目安 |
|---|---|
| 敷金・礼金 | 賃料の2~4か月分 |
| 仲介手数料 | 賃料の1か月分 |
| 前家賃 | 1~2か月分 |
| 保証会社利用料 | 賃料の0.5~1か月分 |
東京都内で月額15万円の1LDK物件を借りる場合、初期費用として60万円~100万円程度が必要になります。ただし、民泊利用可能な物件は通常の賃貸物件より賃料や敷金・礼金が高めに設定されている傾向があり、また物件数も限られているため、物件探しには時間がかかる可能性があります。
②物件のリノベーションにかかる費用
物件の状態によっては、民泊として運営するために大規模な改修が必要になることがあります。特に築年数の古い物件や、これまで居住用として使われていなかった物件では、以下のような工事が必要になる場合があります。
建築基準法への対応
住宅宿泊事業法に基づく民泊では、建築基準法上の用途変更は原則不要ですが、旅館業法の簡易宿所として営業する場合は、建築基準法への適合が求められます。
具体例として、築30年の木造戸建て(延床面積120㎡)を改修する場合をご紹介します。
| 工事内容 | 費用目安 |
|---|---|
| 耐震補強工事 | 200万円~400万円 |
| 防火設備の設置 | 100万円~200万円 |
| 水回りの改修 | 150万円~300万円 |
| 内装工事 | 100万円~200万円 |
合計で550万円~1,100万円程度の改修費用が必要になる可能性があります。
こだわりの空間づくり
競合との差別化を図るため、デザイン性の高い内装や設備を導入する場合は、さらに費用が増加します。例えば以下のような費用が想定されます。
| 項目 | 費用目安 |
|---|---|
| デザイナーズ家具の導入 | 50万円~200万円 |
| 特注の内装デザイン | 100万円~300万円 |
| 高級家電の設置 | 30万円~100万円 |
③申請や運営にかかる費用
民泊を合法的に運営するためには、各種申請手続きが必要です。これらの手続きを自分で行うか、専門家に依頼するかによって費用は大きく異なります。
申請代行を利用する場合
行政書士等の専門家に申請代行を依頼する場合は民泊のタイプ別によって費用が変わってきます。詳しくは下記の記事をご参照ください。

自分で申請する場合
自分で申請を行う場合、手数料のみで済みますが、相当な時間と労力が必要です。ただし、書類作成や関係部署との調整に多くの時間を要し、不備があれば再提出が必要になるリスクもあります。
共通でかかる費用も存在
物件の取得方法に関わらず、一般的に以下の費用が発生するとされています。
備品購入費用
快適な宿泊環境を提供するために必要な備品類は下記の通りです。
| 項目 | 費用目安 |
|---|---|
| リネン類(シーツ、枕カバー、タオル等) | 5万円~20万円 |
| 家具(ベッド、テーブル、椅子等) | 20万円~100万円 |
| 家電製品(エアコン、冷蔵庫、電子レンジ等) | 30万円~100万円 |
| アメニティ類(シャンプー、歯ブラシ等の初期在庫) | 3万円~10万円 |
| 清掃用具 | 2万円~5万円 |
消防設備費用
消防法令に基づき、以下の設備の設置が必要です。
| 項目 | 費用目安 |
|---|---|
| 火災報知器 | 5万円~15万円 |
| 消火器 | 1万円~3万円 |
| 誘導灯・非常灯 | 10万円~30万円 |
| その他(避難器具等) | 5万円~20万円 |
規模や構造によっては、スプリンクラー設備の設置が必要になる場合もあり、その場合は数百万円の追加費用が発生することがあります。
開業費用のモデルケース
実際の開業費用をより具体的にイメージしていただくため、3つの代表的なパターンでモデルケースをご紹介します。
賃貸で始める場合(都内1LDK)
東京都内で月額15万円の1LDK物件(40㎡)を賃貸して民泊を始めるケース
目安金額:180万円~250万円
| 項目 | 費用(目安) |
|---|---|
| 物件取得費用(敷金2・礼金1・仲介1・前家賃2) | 100万円 |
| 家具・家電購入費 | 40万円 |
| リネン・アメニティ類 | 8万円 |
| 消防設備 | 15万円 |
| 申請代行費用 | 20万円 |
| その他(保険、広告費等) | 10万円 |
このケースでは、比較的少ない初期投資で始められます。、毎月の賃料が固定費として発生するため、稼働率を高く維持する必要があります。
購入で始める場合(地方の別荘エリア戸建て物件)
長野県の観光地近くの戸建て(築20年、100㎡)を購入して民泊を始めるケース
目安金額:2,300万円~2,800万円
| 項目 | 費用(目安) |
|---|---|
| 物件購入費用 | 1,500万円 |
| リフォーム費用 | 500万円 |
| 家具・家電購入費 | 80万円 |
| リネン・アメニティ類 | 15万円 |
| 消防設備 | 30万円 |
| 申請代行費用 | 25万円 |
| 諸経費(登記費用、不動産取得税等) | 150万円 |
初期投資は大きいものの、物件が資産として残り、長期的な収益が期待できます。
保有物件で始める場合(地方の戸建て物件)
実家の離れ(築15年、60㎡)を改装して民泊を始めるケース
目安金額:200万円~350万円
| 項目 | 費用(目安) |
|---|---|
| リフォーム費用(水回り中心) | 100万円 |
| 家具・家電購入費 | 50万円 |
| リネン・アメニティ類 | 10万円 |
| 消防設備 | 20万円 |
| 申請代行費用 | 20万円 |
| その他(Wi-Fi工事、看板設置等) | 15万円 |
物件取得費用がかからないため、初期投資を大幅に抑えられます。
開業にかかる費用一覧表
都内で民泊を開業する場合の費用イメージを、より詳細に一覧表にまとめました(賃貸は1LDK、購入は戸建てを想定)
| 費用項目 | 金額(目安) | 備考 |
|---|---|---|
| 賃貸の場合 | 月20万円+敷金・礼金(2~4か月分)+仲介手数料 | 初期費用として80万円~120万円程度 |
| 購入の場合 | 5,000万円~1億円 | エリアや物件規模により大きく変動 |
| 保有物件の場合 | 0円 | 既存物件を活用 |
| 改装・リフォーム費用 | 100万円~1,000万円 | 築年数や建築基準法への対応により変動 |
| 消防設備費用 | 30万円前後 | 物件規模により変動 |
| 家具・家電費用 | 20万円~100万円 | 導入設備のグレードにより変動 |
| リネン・清掃設備費用 | 5万円~15万円 | 運営規模により変動 |
| システム類導入費用 | 5万円~15万円 | OTA連携、予約管理システム、スマートロック等 |
| 許可申請費用 | 20万円~30万円 | 申請代行の利用有無により変動 |
| その他変動費用 | 10万円~50万円 | 民泊保険、広告宣伝費、運営委託初期費用など |
よくある質問
- 開業にかかる期間はどれくらいですか?
物件の状態や申請の種類によって異なりますが、一般的には3か月~6か月程度とされています。
賃貸物件で住宅宿泊事業の届出を行う場合は、物件契約から開業まで最短で2~3か月程度です。一方、物件を購入してリフォームを行い、旅館業許可を取得する場合は、6か月~1年程度かかることもあります。
特に時間を要するのは以下のプロセスです。
- 物件探し:1~3か月
- リフォーム工事:1~3か月
- 許可申請・審査:1~2か月
- 開業準備(備品調達、システム導入等):2週間~1か月
計画的に準備を進めることで、期間を短縮することも可能です。
- 開業準備を代行に任せることは可能ですか?
はい、可能です。費用は上がりますが、開業代行サービスを利用することで、効率的に準備を進められます。
開業代行サービスには、以下のような種類があります。
- トータルサポート型:物件選定から開業まで一括サポート(費用:100万円~300万円)
- 申請代行特化型:許可申請のみをサポート(費用:15万円~50万円)
- 運営準備支援型:備品調達やシステム導入をサポート(費用:30万円~100万円)
初めて民泊を開業する方や、本業が忙しい方には、トータルサポート型のサービスが人気です。ただし、費用対効果を慎重に検討し、自分でできる部分は自分で行うことで、コストを抑えることも可能です。
民泊の開業に不安の方は是非ReINNにご相談を
民泊開業には、物件選び、申請手続き、運営準備と多くのステップがあります。それぞれのステージで適切な判断と対応が非常に重要になります。
東急不動産ホールディングスグループのReINN株式会社では、民泊開業を目指す方の状況やニーズに応じて、最適なアドバイスとサポートを提供しています。
- 物件の立地や運営方針に合わせた民泊タイプの選定
- 信頼できる申請代行業者のご紹介
- 費用感のそうてい
何か分からないことがありましたら、まずは無料相談から、お気軽にお問い合わせください。あなたの民泊開業を成功に導くために、経験豊富なスタッフが丁寧にサポートいたします。






