人口減少に伴い地方の家賃収入が頭打ちとなるなか、不動産投資の新たな最適解として注目を集める民泊・旅館業(以降「民泊」)。
通常の賃貸と比べ約5倍という圧倒的な収益力を生み出すインバウンド需要の活かし方から、規制や融資といった特有のリスク管理、そして「営業権の売却」という最新の出口戦略まで、投資家目線による民泊経営のリアルを、国内外に多数の収益物件を保有する現役大家のTak氏に伺いました。
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【免責事項】
・本記事における「民泊」とは、住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業、旅館業法に基づく簡易宿所営業、および特区民泊制度のいずれも含む総称です。
・本記事の内容は、2026年5月時点で確認可能な法令・制度・サービス内容等に基づき作成しています。最新の法令や制度、各サービスの詳細については、必ず各自治体や事業者の公式ホームページにてご確認ください。
・本記事で紹介している投資手法や運営実績は、個人の経験および特定の物件における事例であり、将来の確実な利益や投資成果を保証するものではありません。民泊投資には空室リスクや価格変動リスク等が存在するため、実際の投資判断はご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。
家賃を上げにくい札幌の物件で気軽に参入→驚きの結果に
――もともと大家さんとして、海外も含め収益物件を多数保有されるなか、民泊を始められたきっかけを教えて下さい。
Tak:始めたきっかけは本当に偶然でした。札幌に所有している一棟マンションの収益物件があり、常時、部屋は埋まっていたものの、東京のような急速な家賃上昇はなく、また人口減少という構造的問題もあり、地方だとなかなか家賃を上げにくい状況なのです。しかも、賃貸物件の仲介サイトからは家賃数カ月分の広告費を求められるといった負担もあり、正直、イラッとすることもあったわけです(笑)。
条件を緩めれば確かに入居者は入りますが、それでは安定はしていても、投資としての面白みがない。そんなとき、私と同じように大家さん業を営んでいる方から、「いま、民泊(宿泊業)が結構面白い」という話を聞きました。それなら試しに空いている部屋でやってみようと思ってスタートしたのが始まりです。
――実際に民泊を始めてみて、その結果も含めて気付きなどはありましたか。
Tak:私の場合、民泊運営代行会社を間に入れて参入したため、部屋づくりから許認可申請まで自分で手を下す必要がなく、大変なところは運営代行会社が行ってくれました。そして、いつの間にか部屋がリスティングされ、集客もしてもらいました。
銀行口座に最初の月の売上が入金されたとき、正直驚きました。通常の賃貸によって得られる家賃収入に比べて、圧倒的に収益力が高かったからです。具体的に言うと、家賃収入に比べて5倍程度の収入でした。これで民泊の面白さを知り、もう少し増やしてみようと考えながら今に至っています。
――なぜ収益力にこれだけの差が出たのでしょうか。
Tak:日本の収益物件からもたらされる家賃収入は、基本的に入居者の賃金に連動しています。最近は一部大手企業の賃金は上がりつつありますが、平均で見るとまだまだ上がっていません。だから家賃のアップサイドは限られてしまいます。
でも、民泊利用者は大半がインバウンドです。円安の影響もありますし、そもそも日本に比べて高い賃金を得ている人も少なくないため、ある程度、高めの料金設定ができます。つまり、内外価格差を利用したアービトラージ(裁定取引)が可能になるのです。
結果、運営代行会社にフィーを払ったとしても、十分なアップサイドが得られることに気付きました。
民泊は、グローバルを視野に展開できる不動産活用ビジネスのひとつ
――大家業を長年やっている方のなかには、民泊を「リスクが高い」「一過性のブームではないか」と言って敬遠する人も少なくないと聞きます。投資家として考えた場合、民泊に向いている人、向いていない人というのはあるのでしょうか。
Tak:あると思います。収益物件から家賃収入を得る大家業には、安定した収益が得られるというメリットがあります。しかし、今はこれ以上、地方の賃貸物件を増やしにくい状況です。
私は不動産投資の本質について「与えられた一定の空間を最大公約数的に収益化すること」、つまり、収益の最大化を目指して使い方をデザインすることだと理解しています。その最適解が、時には店舗かもしれませんし、レンタルスペースやトランクルームかもしれません。
私も一時期、レンタルスペースを運営してみようと考え、小さく始めたことがあったのですが、実際にやってみると向いていないことに気付き、短期間で撤退したことがあります。そのほかにも、トランクルームを勧められたこともありましたし、太陽光発電を手掛けたりもしていますが、今の時代、自分に与えられた一定の空間を用いて収益の最大化を目指すとしたら、その最適解のひとつは民泊だと考えています。
恐らく地方は、この先人口減少が加速していくため、収益物件をたくさん抱えていてもアップサイドが期待できません。マクロ的に考えれば、日本の人口そのものが減少していきます。
そうなると基本的に、利用者の大半が日本人であるレンタルスペース、トランクルーム、賃貸などの収益力は、いずれ頭打ちになるでしょう。 その点、民泊は外国人を相手にグローバルな展開ができる不動産活用ビジネスのひとつであると考えられます。これが民泊とそれ以外の不動産活用との決定的な違いであり、私にとっての不動産投資の最適解なのです。
投資としての民泊運営…「3つのリスク」とは?
――投資の世界の基本として、リターンの高いものには相応のリスクが伴うと考えられます。その点、民泊におけるリスクにはどういうものがあり、それをどうコントロールしていますか。
Tak:確かに高い収益力が期待できる民泊ですが、だからといって、闇雲に物件数を増やすつもりはありません。実際、私が保有している物件の件数で見れば、民泊に使っているのは20分の1程度です。比率で言えば5%程度ですから、資産配分の比率としては大したことがありません。
しかし、資産配分比率としては5%しかない民泊ですが、前述したように賃貸物件に比べて5倍程度のリターンが得られるので、ポートフォリオ全体の収益力を大きく押し上げてくれるのも事実です。だからこそ、闇雲に民泊向けの物件を増やすのではなく、慎重にノウハウを積み重ねながら、賃貸物件のなかで1部屋空きが生じたとき、それを民泊に変えるかどうかを真剣に検討しながら、徐々に増やしています。
気になるリスクですが、3つほど考えられます。
第一に「許認可・規制対応のリスク」です。近年、宿泊者のゴミ出し問題などで近隣住民とのトラブルが増えており、都心などではかなり厳しく規制する動きがあります。消防や保健所の許認可を取るプロセスも年々複雑化していますし、その物件が民泊のスペックを満たしているのかどうかをしっかり見極める必要があります。
第二は「近隣トラブルのリスク」です。一棟マンションの一部を活用する場合、昔から入居している方から「外国人が出入りしていてうるさい」といった苦情が出るケースがあります。
第三は「資金調達のリスク」です。これは民泊業をビジネスにする場合、最も重要なポイントですが、民泊業に対する銀行の融資は選択肢が限られています。そのため私の場合は、基本的に他の事業で得た余剰資金を用いて、レバレッジをかけずに運営しています。
物件の形態やロケーションに「明確なこだわり」
――物件の形態やロケーションについて、何か基準がありますか。
Tak:基本的にはRC(鉄筋コンクリート)造、あるいは重量鉄骨造のマンションをターゲットにしています。「木造アパート」は、私自身が安っぽく感じてしまうため、避けるようにしています。
ロケーションに関しては、多くの人が集まる駒込や新宿、港区芝など東京の都心エリアに、もともと商業地域などの用途がクリアできる優良な物件を所有していたため、そこが空いたタイミングで民泊に切り替えたりしています。
一方、民泊業をやるために、わざわざ新規で仕込む場合は、リノベーションにお金が掛かるので、できるだけ安く買えることが条件です。
最近の象徴的なプロジェクトとしては、函館の「t9 Hakodate(ティーナインはこだて)」という歴史的建造物を入札で購入し、一棟丸ごと、グラフィックデザイナーや建築士を巻き込んで、究極のコンセプトホテルへと改築しました。

https://t9-hakodate.jp/


物件の「投資コスト回収期間」と「出口戦略」
――民泊用に部屋を改築する場合、コストを回収するまでにどのくらいの期間を要しますか。
Tak:改築にどのくらいのお金をかけたのか、稼働率はどのくらいなのかにもよりますが、私のケースで申し上げると、1年で回収するのは難しいのですが、2年前後で回収できるケースはあります。 普通の賃貸物件の利回りが10%程度だとして、それに対してGOP(営業粗利益)で20%とか30%で回せるのであれば、民泊にする意味は十分にありますし、民泊にしたものの利回りが賃貸物件と変わらないのであれば、また賃貸物件に戻せばいいのです。



――最後に、民泊の出口戦略について教えて下さい。
Tak:民泊ビジネスのトラックレコードが蓄積されてきたことで、近年ではM&Aなどのセカンダリーマーケットが急速に立ち上がっています。
転貸で民泊をやっている人たちの間では、不動産そのものが付いていない「営業権」が、驚くような高値で売買されていたりもします。これはある意味、市場の過熱感の表れでもありますが、裏を返せば、新規参入の規制が厳しくなればなるほど、正しくトラックレコードを積み上げた既存の民泊に高い資産価値がつくという期待はあります。 もちろん、ダメなら普通の賃貸マンションに戻せばいいという、大家業ならではのセーフティネットもありますが、「ビジネスとして営業権を売却する」という出口が現実味を帯びてきたのは、投資家として非常に面白い時代になったと感じています。
インバウンド需要を捉え、入り口から出口までを設計
不動産投資の中でも、インバウンドと相性のよい民泊は、グローバル基準のビジネス展開が期待できる一形態です。ビジネスを成功させるには、物件の立地選定や柔軟な運営体制といった多角的な視点が必要ですが、これらを丁寧に整えることによって成果が期待できると言えそうです。
東急不動産ホールディングスグループの「ReINN(リイン)」では、民泊の参入戦略の設計から、物件購入、融資、開業、運営体制の構築、出口戦略までを統合的に支援し、あらゆる人が手軽に宿泊事業を運営できる仕組みを提供しています。

民泊物件の売買に強い不動産会社や、民泊ローンの提供が可能な金融機関との連携、全国の住宅宿泊管理業者とのネットワークを駆使し、収益性と節税のバランスを考慮した安定的な運営をサポートいたします。
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