ここまでお伝えしてきた「データを重ね合わせて読む」という考え方を、実際のエリアで確認してみましょう。長野県諏訪市を例に取り上げます。
ReINNが持つ生データと公開データを重ね合わせることで、初めてこの読み方が可能になります。
実際に確認していきましょう。

来訪者数は404.9万人。前年の369.9万人から9.5%増加しており、水準だけでなく変化率でも底堅い伸びを見せています。一方、競合となる民泊物件のAirbnb掲載数はわずか11件。ただしこの11件はあくまでAirbnb上に掲載されている民泊物件の数であり、ホテルや旅館といった既存の宿泊施設はここに含まれていません。この2つを重ね合わせる、つまり来訪者数を競合数で割ると、物件1件あたりの参入余地が見えてきます。諏訪市の場合、約36万人という数字が出ます。

軽井沢町や箱根町といった著名な観光地と比べても、突出して大きい数字です。「知名度はあるのに、まだ民泊が少ない」という空白地帯が、データを重ねることで初めて浮かび上がってきます。
なぜこうした空白が生まれているのでしょうか。諏訪湖や上諏訪温泉、諏訪大社の御柱祭、霧ヶ峰高原といった観光資源に加えて、精密機械工業の集積地でもあり、観光需要とビジネス出張需要が併存する複合的な需要構造を持っています。既存の宿泊需要はホテルや旅館が主に受け止めており、民泊需要はまだ顕在化していません。
ここで重要なのは、「諏訪市が良いエリアだ」という結論そのものではありません。来訪者数・競合数という2つのデータを重ね合わせて空白地帯を見つけるという、この一連の読み方を、あなた自身が気になっている別のエリアにも当てはめられるようになることです。そして、この読み方によって空白地帯を見つけたなら、次にすべきは、第8章で見た行動量を投じて、そのエリアの地場を歩くことです。知識が行き先を指し示し、行動量がそこに実際に踏み込む。この両輪が揃って初めて、平均的な数字から抜け出す道が開けます。
ただし、ここまでの読み方だけで、すべてが解決するわけではありません。次章では、どこまでが自分で調べられる情報で、どこからが資金で買うべき情報なのか、その線引きを整理します。


