運営代行業者を変えたい民泊オーナー必見|トラブルなく切り替える4つのステップ

民泊運営を運営代行業者に委託しているものの、「思ったように稼働率が上がらない」「対応が遅くてゲストからクレームが来る」「料金体系が不透明で不信感がある」といった不満を抱えているオーナーは少なくありません。「別の業者に変えたら改善した」という話を聞いて、自分も運営代行業者の変更を検討しているものの、具体的にどう進めればよいのか分からず、現状の業者との関係悪化も心配になるものです。

本記事では、現在民泊を運営しており運営代行業者の変更を検討しているオーナーの方に向けて、トラブルなくスムーズに業者を乗り換えるための実務的な手順と、次の業者を選ぶ際の評価ポイントを詳しく解説します。

この記事でわかること

  • 民泊運営代行業者を変更すべきタイミングの見極め方
  • 円満に契約解除し、新しい業者へ移行するための4つのステップ
  • 次の運営代行業者を選ぶ際の具体的なチェックポイント

この記事の執筆・監修者

■この記事の執筆者


ReINN株式会社/東急不動産ホールディングスグループ
民泊メディア編集部 マーケティングマネージャー

民泊領域に特化した専門編集チームとして、行政手続き・運営ノウハウ・物件選定など、開業から運営・売却までを一気通貫でサポートする情報を発信。営業現場で蓄積された実データと最新トレンドを基に、オーナーの意思決定を支えるコンテンツを企画・編集している。

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民泊メディア編集部 マーケティングマネージャー

民泊領域に特化した専門編集チームとして、行政手続き・運営ノウハウ・物件選定など、開業から運営・売却までを一気通貫でサポートする情報を発信。営業現場で蓄積された実データと最新トレンドを基に、オーナーの意思決定を支えるコンテンツを企画・編集している。

【免責事項】
・本記事における「民泊」とは、住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業、旅館業法に基づく簡易宿所営業、および特区民泊制度のいずれも含む総称です。
・本記事の内容は、2025年11月時点で確認可能な法令・制度・サービス内容等に基づき作成しています。最新の法令や制度、各サービスの詳細については、必ず各自治体や事業者の公式ホームページにてご確認ください。

目次

運営代行業者を変更すべき3つのサインと判断基準

運営代行業者との契約を見直すべきタイミングは、いくつかの明確なサインによって判断できます。以下のような状況が続いている場合は、業者変更を真剣に検討する時期に来ている可能性があります。

SIGN
稼働率が期待値を大きく下回っている

運営代行業者の最も重要な役割の一つは、適切な価格設定とマーケティングによって稼働率を最大化することです。契約当初に提示された稼働率の見込みや、同エリアの類似物件と比較して明らかに低い稼働率が続いている場合は、業者の運営能力に問題がある可能性があります

稼働率の低さには様々な要因がありますが、代行業者側の問題としては、AirbnbなどのOTAへの掲載写真や説明文の質が低い、価格設定が市場相場と合っていない、複数のOTAを活用していない、レビュー評価が低いなどが考えられます。

SIGN
対応が遅い、または丁寧ではない

民泊運営において、ゲストや緊急事態への迅速な対応は収益と評判に直結します。予約問い合わせへの返信が24時間以上かかる、チェックイン前日になっても入室方法の案内が送られていない、ゲストからのトラブル報告に対する初動が遅いといった対応の遅れや質の低さが常態化している場合は深刻な問題です。

特にゲスト対応の遅れは、レビュー評価の低下を招き、結果として稼働率の低下につながります。Airbnbなどのプラットフォームでは、ホストの返信率や返信速度も評価基準に含まれているため、対応の遅さは直接的な機会損失となります。

SIGN
料金体系が不透明で不信感がある

民泊の運営代行業者の中には、「売上の20%」などの表面的な手数料だけを提示し、実際の運営が始まってから清掃費、OTA手数料、写真撮影費用などの追加費用を後から請求してくるケースがあります。

本来、信頼できる業者であれば、契約前の段階で手数料に含まれる内容・別途発生する費用・管理範囲や責任の線引きなどを事前に説明するのが通常です。こうした情報の提示が曖昧なまま契約を急がせる業者には注意が必要と言えるでしょう。

また、毎月の収支報告で、
・宿泊料金の総額が提示されない
・控除されている手数料の根拠が示されない
・清掃回数や費用の明細が不自然
など、収支の透明性に欠ける状況が続く場合も問題です。

説明を求めても曖昧な回答しか返ってこない場合は、運営代行会社を見直すべきタイミングと言えるでしょう。

業者変更を成功させる4つのステップ

業者変更は、計画的に進めることでトラブルを最小限に抑えることができます。

STEP
契約書の見直しと解約理由を整理する

業者変更を成功させるためには、まず現在の状況を正確に把握することが重要です。

契約書を改めて精読し、
契約期間、解約予告期間、解約時の違約金、業者が管理しているアカウントの所有権、契約終了時の引継ぎ義務の有無を確認します。
特に、違約金や契約期間については各業者によっても大きく異なることが多いため、注意して確認しましょう。

次に、現在の業者に対する不満を具体的に整理します。ただし、稼働率の推移・レビュー評価の変化・連絡対応の遅れ・料金明細の不透明さなど、客観的な事実や数値をもとに整理すると、改善点が明確になり、業者を見直す判断がしやすくなります。

STEP
他の業者をリサーチする

次の候補となる業者を複数比較して検討します。最低でも 3〜5 社程度をリサーチし、サービス内容や強み、運営スタイルの違いを理解しておくと安心です。

運営代行業者を選ぶ際は、公式サイトでの情報公開状況や実績、登録番号の掲載、問い合わせへの対応品質などを確認することが信頼性判断の第一歩になります。

また、ネット上のレビューや、実際に利用したオーナーの声も参考材料になります。

ReINNでは、各運営代行業者の違いを比較できるよう、民泊運営代行業者の検索サイトを運営しています。合わせてご活用ください。

STEP
現在の契約を解除する

次の業者が決まったら、現在の業者との契約解除手続きに入ります。契約書で定められた解約予告期間を再確認し、その期間を遵守する必要があります。一般的には1〜3ヶ月前の通知が必要とされていますが、契約によっては異なる場合もあります。

解約を伝える際の理由は、事実に基づき説明します。感情的な非難や攻撃的な言い方は避け、「経営方針の見直しにより、運営体制を変更することになりました」「収益性向上のため、別の運営形態を検討した結果、契約を終了させていただきたい」といった伝え方をすると良いでしょう。

解約の際は、必ず書面(郵送または電子メール)で正式な解約を通知することが重要です。
郵送の場合は「内容証明郵便」または「配達証明付き書留」で送付すると、後日のトラブル防止に役立ちます。

STEP
新業者へ引き継ぐ

契約解除の通知が完了したら、新業者へのスムーズな引継ぎを準備します。

まずは、Airbnb、Booking.com、楽天トラベルなどのOTAアカウントの所有権と管理権限を確認しましょう。アカウントが業者名義で作成されている場合、そのアカウントを引き継ぐことは困難な場合が多く、新しくアカウントを作成し直す必要も出てきます。

また、掲載中のリスティング情報、今後の予約リスト、過去のゲスト情報、ハウスマニュアルやチェックイン手順の文書を漏れなく引き継ぐことも重要です。特に引継ぎ期間中に既に予約が入っている場合は、タイミングによって情報漏れやゲストへの連絡ミスが起こりやすいため、両業者と綿密に調整する必要があります。

次の運営代行業者選定で失敗しない5つのチェックポイント

チェックポイント1:サービス内容と料金の明確性

新しい業者を選ぶ際は、提供されるサービス内容と料金体系が明確に示されているかを必ず確認しましょう。

契約前に、管理の範囲・料金に含まれる項目・追加費用の有無などがきちんと説明されていない場合、後々トラブルにつながる可能性があります。

また、契約書は「どこまでが基本料金で、どこからが別料金なのか」「解約や更新の条件はどうなっているか」といった重要事項が整理されているかが大切です。不明点があれば、そのまま契約せずに、必ず事前に確認しておきましょう。

新業者との契約では、住宅宿泊事業法第33条および第34条に基づく書面交付が適切に行われるかを確認しましょう。

法律では、契約締結前に住宅宿泊管理業務の内容・実施方法、報酬並びにその支払の時期及び方法、報酬に含まれていない費用、責任及び免責に関する事項、契約の更新及び解除に関する事項などについて、書面を交付して説明する義務が業者に課されています。

これらの法定事項が明確に記載された契約書を受け取り、不明点があれば契約前に必ず確認することが重要です。

具体的な確認事項
・手数料の計算式(清掃費やOTA手数料を含むのか、含まないのか)
・基本手数料に含まれるサービス範囲(清掃、リネン交換、ゲスト対応など)
・追加費用が発生する条件と料金(消耗品補充、設備修理、写真撮影など)
・報酬の支払時期(月末締め翌月払いなど)
・出納管理はどちらが行うのか
・収支報告の頻度と内容

チェックポイント2:緊急時の対応体制

民泊運営では、深夜のトラブルや外国人ゲストへの対応など、緊急事態が発生することは珍しくありません。対応可能な言語、24時間対応の実態、対応可能なトラブルの範囲を具体的に確認しましょう。

契約前に、実際の緊急対応事例を具体的に聞いてみることをお勧めします。住宅宿泊事業法施行要領では、緊急時の連絡対応等の方法についても明示することが望ましいとされています。

具体的な確認事項
・緊急連絡先(24時間対応の電話番号)
・対応可能な言語(日本語、英語、中国語など)
・過去の緊急対応事例(水漏れ、鍵の紛失、騒音トラブルなど)
・対応時間の目安(連絡から何分以内に初動対応など)

チェックポイント3:アカウントと情報資産の引継ぎ可否

将来的に再度業者を変更する可能性を考慮し、契約書にOTAアカウントの所有権がオーナーにあることを明記します。Airbnb、Booking.comなどのアカウントはオーナー名義で作成し、業者はアカウント管理者として追加される形にすることで、業者変更時にレビュー評価やホストレベルを維持できます。

具体的な確認事項
・OTAアカウントの名義(オーナー名義か業者名義か)
・契約終了時のデータ返還(予約履歴、ゲスト情報など)
・リスティング情報の所有権
・撮影した写真の著作権

チェックポイント4:実績と口コミの確認

住宅宿泊管理業者の登録番号を確認し、国土交通省のウェブサイトで登録状況を照会しましょう。また、可能であれば既存の委託オーナーからの紹介や口コミを確認することで、業者の実態をより正確に把握できます。

具体的な確認事項
・住宅宿泊管理業者登録番号
・管理物件数と稼働率の実績
・同エリアでの運営実績
・オーナー向け説明会や個別相談の実施状況

なお、ReINNでは運営代行業者の運営評価を独自で行っています。ご用件に応じてお見積もりをしますので、ぜひご相談ください。

チェックポイント5:定期報告の充実度

住宅宿泊事業法第40条では、管理業者に定期報告義務が課されています。単に法定の最低限の報告だけでなく、収支の詳細分析、競合物件との比較、改善提案などを含む充実した報告を提供してくれる業者を選びましょう。

運営代行業者を選ぶ際は、どれだけ質の高い報告を定期的に行ってくれるかも重要な判断ポイントです。単に収支をまとめるだけではなく、物件の状況を分析し、改善につながる内容を提供してくれる業者ほど運営パフォーマンスが安定しやすくなります。

特に、収益の推移、競合物件との比較、レビュー傾向の分析などを含む、実務に役立つレベルの報告をしてくれるかは必ず確認しておきましょう。

具体的な確認事項
・報告書のサンプルを見せてもらう
・報告頻度(月次、四半期、年次)
・報告内容(稼働率、売上、経費、レビュー評価など)
・改善提案の有無

よくある質問(FAQ)

運営代行業者を変更すると、レビュー評価はリセットされますか?

OTAアカウントの所有者によります。オーナー名義のアカウントであれば、業者が変わってもレビュー評価は維持されます。ただし、業者名義でアカウントが作成されている場合、新しいアカウントを作成する必要があり、レビューがリセットされる可能性が高いです。このため、新規契約時にはアカウント名義をオーナー名義にすることを強く推奨します。

契約期間の途中で解約したいのですが、違約金は必ず発生しますか?

契約書に違約金条項がある場合は、原則として支払い義務が発生します。ただし、業者側に明らかな契約違反(例:法第33条・第34条の書面交付義務違反、定期報告義務の不履行、管理業務の重大な怠慢など)がある場合は、違約金なしで解約できる可能性があります。住宅宿泊事業法施行要領では、契約に定める義務を履行しない場合、相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないときは契約を解除できるとされています。まずは書面で履行催告を行い、改善されない場合は弁護士や行政書士に相談することをお勧めします。

引継ぎ期間中、予約が入っている場合はどうすればいいですか?

引継ぎ日を既存予約がすべて完了した後に設定する方法が一般的です。予約が途切れない場合は、予約情報を両業者で共有し、新業者が主導で対応しつつ旧業者がサポートする形を取ることもあります。
具体的には、以下の手順が推奨されます:

  1. 引継ぎ日時点で予約済みのゲストリストを作成
  2. 両業者間で予約情報、ゲスト連絡先、特記事項を共有
  3. ゲストへの対応窓口を明確化(どちらの業者が対応するか)
  4. 緊急時の連絡体制を構築

ゲストへの対応に漏れがないよう、両業者と密に連携することが重要です。

業者が法定の書面を交付してくれない場合はどうすればいいですか?

住宅宿泊事業法第33条および第34条により、住宅宿泊管理業者は契約締結前および締結時に書面を交付する法的義務があります。これを怠る業者は法令違反の可能性があり、国土交通大臣から業務改善命令(法第41条)や登録取消処分(法第42条)を受ける対象となります。

書面交付を求めても応じない場合は、その業者との契約を避けるべきです。また、既に契約済みで書面が交付されていない場合は、書面での交付を改めて要求し、応じない場合は管轄の地方整備局または国土交通省に相談することができます。

相談窓口

  • 各地方整備局 建設業課
  • 国土交通省 不動産業課

民泊運営の改善ならReINNにご相談を

業者選定を効率的に進めるために、ReINNでは運営代行業者を比較できるサイトを運営しています。

会社概要から手数料率、運営室数、清掃体制など細かな運用面までを網羅【完全無料】でご利用いただけますので、ぜひご活用ください。

掲載されている主な情報
  • 会社概要・サービスの特徴
  • 累計運営室数
  • 対応可能エリア
  • 手数料・料金体系の比較
  • OTA対応・自社サイト構築の有無
  • 対応可能なサービス範囲
  • 部分代行の可能範囲
  • 対応可能な言語 など

※その他の情報についても、ご要望に応じて弊社にて確認させていただきます。

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専門家との連携や実際の運営支援経験をもとに、オーナーの皆さまに役立つ情報をわかりやすく発信しています。

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