家主不在型で民泊事業を成功に導くためには、信頼できる運営代行業者の選択が不可欠です。
しかし、数多くの代行業者が存在する中で「どの業者を選べばよいのかわからない」「手数料の妥当性が判断できない」「サービス品質を事前に見極める方法がない」といった悩みを抱えるオーナー様は少なくありません。
本記事では、民泊運営代行業者を比較する際の客観的な判断基準として、7つの必須チェックポイントを詳しく解説。手数料体系の理解から具体的な質問リスト、法的登録の確認方法まで、実務に直結する情報を網羅的にお伝えします。
この記事でわかること
- 民泊運営代行業者を選定する7つの必須チェックポイントと具体的な確認方法
- 運営代行のサービス内容や手数料相場、契約時の注意すべきポイント
- よくある失敗事例から学ぶ、業者選択で避けるべき落とし穴
この記事の執筆・監修者

■この記事の執筆者
ReINN株式会社/東急不動産ホールディングスグループ
民泊メディア編集部 マーケティングマネージャー
民泊領域に特化した専門編集チームとして、行政手続き・運営ノウハウ・物件選定など、開業から運営・売却までを一気通貫でサポートする情報を発信。営業現場で蓄積された実データと最新トレンドを基に、オーナーの意思決定を支えるコンテンツを企画・編集している。

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民泊メディア編集部 マーケティングマネージャー
民泊領域に特化した専門編集チームとして、行政手続き・運営ノウハウ・物件選定など、開業から運営・売却までを一気通貫でサポートする情報を発信。営業現場で蓄積された実データと最新トレンドを基に、オーナーの意思決定を支えるコンテンツを企画・編集している。
【免責事項】
・本記事における「民泊」とは、住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業、旅館業法に基づく簡易宿所営業、および特区民泊制度のいずれも含む総称です。
・本記事の内容は、2025年11月時点で確認可能な法令・制度・サービス内容等に基づき作成しています。最新の法令や制度、各サービスの詳細については、必ず各自治体や事業者の公式ホームページにてご確認ください。
民泊の運営代行とは?
住宅宿泊管理業者としての登録が必須
民泊運営代行とは、住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊管理業者が、民泊オーナーに代わって物件の運営管理業務を行うサービスです。住宅宿泊事業法では、住宅宿泊事業者(オーナー)が住宅宿泊管理業者に管理業務を委託することができると規定されています。
住宅宿泊管理業者は国土交通大臣の登録を受けた事業者であり、住宅宿泊管理業者登録簿で確認することができます。登録番号は「国土交通大臣(◯◯)第◯◯号」の形式で付与され、この登録がなければ合法的に管理業務を行うことはできません。
各都道府県の登録事業者の確認は、下記リンクから可能なので、必ずチェックするようにしましょう。
完全委託と部分委託の違い
民泊運営代行業者は、提供するサービス範囲によって大きく2つのタイプに分類されます。
完全代行型
完全代行型は、ゲスト対応から清掃、価格設定、マーケティングまで、民泊運営に関する全業務を一括で管理するサービスです。
メリットとしては、オーナー様の業務負担が大幅に軽減され、専門的な知識がなくても民泊事業を開始できる点があります。また、一つの業者で全業務を管理するため、連携がスムーズでトラブル時の対応も迅速です。
一方、デメリットとしては手数料が高くなりがちな点と、オーナー様自身の運営ノウハウが蓄積されにくい点が挙げられます。また、業者の方針や品質に依存する部分が大きく、業者選択を間違えると事業全体に大きな影響を与えるリスクがあります。
部分代行型
部分代行型は、清掃のみ、ゲスト対応のみなど、特定の業務に特化したサービスを提供する代行業者です。
メリットは、必要な業務のみを委託できるため手数料を抑制できる点と、オーナー様が重要な部分をコントロールできる点です。また、複数の専門業者を使い分けることで、それぞれの分野で最適なサービスを受けられる可能性があります。
デメリットとしては、複数業者との調整が必要になるため管理が複雑になる点と、業者間の連携不足によりトラブルが発生するリスクがある点が挙げられます。
選択基準
選択基準としては、オーナー様の経験レベル、投資物件数、関与できる時間、求める収益性などを総合的に考慮して決定することが重要です。
| 完全委託型がおすすめの人 | 部分委託型がおすすめの人 |
|---|---|
| 民泊運営の知識・経験がない方 本業が忙しく、民泊運営に時間を割けない方 遠方の物件で現地対応が難しい方 | 民泊運営の経験があり、重要な部分を自分でコントロールしたい方 手数料を抑えて収益性を高めたい方 特定業務(清掃のみ、ゲスト対応のみ等)に特化して依頼したい方 |
民泊運営代行でよくある失敗事例と原因
手数料の安さだけで選んで後悔したケース
「手数料12%」という破格の条件に惹かれて契約した結果、期待していたサービスが提供されずに収益が悪化してしまったケースは珍しくありません。具体的な失敗事例として、以下のような問題が挙げられます。
- ゲスト対応が機械的で評価が低下し、予約獲得率が同エリア平均を大幅に下回った。
- 清掃品質が低く、レビューでの指摘が相次ぎ、リピーター獲得に失敗した。
- 価格設定が適切でなく、繁忙期でも稼働率が上がらなかった。
これらの原因は、安価な手数料設定では十分な人的リソースやサービス品質を維持できないという構造的な問題にあります。適正な手数料相場を理解し、サービス品質とのバランスを考慮した業者選択が重要です。
サービス範囲の認識違いによるトラブル
契約時にサービス範囲の詳細を確認せず、後になって「その業務は対象外です」と言われるトラブルも頻発しています。
- 緊急時対応が24時間365日ではなく営業時間内のみだった。
- アメニティの補充は別料金だった。
- リネン交換は週1回のみで連泊時の対応は含まれていなかった。
- OTAは2媒体までしか掲載できなかった。
これらのトラブルを避けるためには、契約前にサービス内容を書面で詳細に確認し、不明な点は必ず質問することが重要です。また、追加料金が発生する可能性のある業務についても事前に把握しておく必要があります。
委託予定先が、住宅宿泊管理業者としての登録がなかった
住宅宿泊事業法では、管理業務の委託は登録を受けた住宅宿泊管理業者にのみ認められており、未登録業者への委託は法律違反となる可能性があります。この場合、オーナー様自身が法的責任を問われるリスクがあります。
中には話を進める中で管理事業者として未登録だと判明したケースもあるので、相談前に法的に許可を取得している管理業者かを確認することが重要です。
民泊運営代行の手数料体系を正しく理解する
手数料相場と計算式
民泊運営代行の手数料は、一般的に売上に対して15%から30%の範囲で設定されるケースが多いです。この幅は提供するサービス範囲や業者の規模、地域特性によって決まります。
また、「売上」の定義も各社によって異なります。主に定義を左右する要素は以下の通りです。
・AirbnbなどのOTA手数料を含むか、含まないか
・清掃代金を含むか、含まないか
手数料の妥当性を判断する際は、同一エリア内の複数業者から見積もりを取り、サービス内容と合わせて比較検討することが重要です。極端に安い手数料を提示する業者については、サービス品質やサステナビリティの観点から慎重に検討しましょう。
手数料に含まれる標準サービス範囲
手数料に含まれる標準的なサービス範囲を正確に把握することは、業者選定において極めて重要です。
ゲスト対応サービス
予約受付、チェックイン・チェックアウト案内、滞在中の問い合わせ対応、トラブル対応が含まれます。対応言語(日本語、英語、中国語など)や対応時間(24時間対応か営業時間内のみか)についても確認が必要です。
清掃・メンテナンスサービス
退室後の清掃、リネン・アメニティの補充、設備点検、軽微な修繕対応が一般的に含まれます。清掃の頻度や品質基準、緊急時の対応範囲についても事前に確認しておく必要があります。
価格設定・収益管理
需給バランスに応じた動的価格設定、競合分析、予約カレンダー管理、売上レポート作成などが含まれます。価格設定のロジックや収益最大化への取り組み姿勢についても確認しておくことが重要です。
マーケティング・集客
主要予約サイト(Airbnb、Booking.com、楽天トラベルなど)への掲載、リスティング最適化、写真撮影、プロモーション企画などが含まれる場合があります。サービスによっては、SNSの運用や自社サイト制作の支援を受けられる場合もございます。
追加費用が発生しやすい項目一覧
標準サービス以外で追加費用が発生しやすい項目を事前に把握しておくことで、予期しない費用負担を避けることができます。
設備関連追加費用
エアコンやWi-Fi機器の故障時の修理・交換、家具・家電の追加購入、防犯カメラの設置、スマートロックの導入などは追加費用となる場合が多くあります。修理費用の上限額や事前承認の仕組みについても確認が必要です。
サービス拡張の追加費用
24時間対応体制への変更、多言語対応の拡張、専用アプリの開発、カスタマイズされたレポート作成などは追加費用が発生する可能性があります。
イレギュラー対応の追加費用
ゲストによる設備破損の修理、近隣トラブル対応、法的手続きのサポート、緊急時の駆け付け対応などは、追加費用として請求される場合があります。
これらの追加費用については、契約前に料金表を入手し、どのような場合に費用が発生するかを明確にしておくことが重要です。
運営代行業者選定の7つの必須チェックポイント
①住宅宿泊管理業者としての登録状況確認
前提となるチェックポイントは、業者が住宅宿泊管理業者として正式に登録されているかどうかの確認です。
住宅宿泊事業法第33条により、住宅宿泊管理業を営む者は国土交通大臣の登録を受けなければならないと規定されています。この登録なしに管理業務を行うことは法律違反となり、委託したオーナー様も法的責任を問われる可能性があります。
国土交通省の公式サイトから「住宅宿泊管理業者一覧」をダウンロードし、業者名で検索することで確認が可能なため、忘れずにチェックしましょう。
②運営実績と稼働率データの開示状況
業者の運営実績と稼働率データの開示状況は、その業者の透明性と実績を判断する重要な指標です。信頼できる業者であれば、以下の情報を開示できるはずです。
- 累計管理物件数
- 稼働率の実績
- ゲストレビューの平均評価
- 運営中のAirbnbなどの掲載情報
場合によっては、実際に運営中の物件に視察にいくなど、適切に運営されているかチェックすることが重要です。
③手数料の透明性と適正価格の判断
手数料の透明性は、長期的な信頼関係を築く上で不可欠な要素です。
優良な業者は、手数料の計算方法、含まれるサービス内容、追加費用が発生する条件などを明確に説明できます。また、同業他社との比較データや、手数料設定の根拠についても合理的な説明を提供できるはずです。
手数料の適正性を判断するためには、以下の点を確認する必要があります。
- 手数料に含まれるサービスの詳細範囲
- 追加費用が発生する条件と料金表
- 競合他社との価格・サービス比較
- 手数料変更の条件と事前通知の仕組み
極端に安い手数料を提示する業者については、サービス品質の維持が困難である可能性や、後から追加費用を請求される可能性を考慮して慎重に検討しましょう。
④提供サービス範囲の明確性
提供サービス範囲の明確性は、後々のトラブルを避けるために極めて重要です。
サービス範囲について確認すべき項目として、以下が挙げられます。
- ゲスト対応の詳細(対応時間、対応言語、対応方法)
- 清掃・メンテナンスの頻度と品質基準
- 緊急時対応の体制と範囲
- 価格設定の方法と頻度
- マーケティング活動の内容と範囲
これらの項目について、業者は具体的かつ詳細な説明を提供できる必要があります。曖昧な表現や「状況に応じて対応します」といった回答では、実際の運用時にトラブルが発生する可能性が高くなります。
また、サービス範囲外の業務について追加費用で対応可能かどうかも確認しておくことが重要です。完全に対応不可能な業務がある場合は、それを補完する方法も検討する必要があります。
⑤レスポンス速度とコミュニケーション品質
民泊運営では迅速な対応が収益に直結するため、業者のレスポンス速度とコミュニケーション品質は重要な評価基準です。
- 初回問い合わせから返答までの時間
- 見積もり提出までの期間
- 契約後の連絡体制
など、初回の面談から契約までの間でのレスポンスも見ながら検討しましょう。
コミュニケーション品質については、質問に対する回答の的確性、専門知識の豊富さ、提案力の高さ、説明の分かりやすさなどを総合的に評価する必要があります。
また、定期的な報告体制についても確認が重要です。月次レポートの提供頻度、内容の詳細さ、改善提案の有無などを確認し、継続的なコミュニケーションが期待できるかを判断する必要があります。
⑥緊急時対応体制とトラブル解決力
民泊運営では予期せぬトラブルが発生することがあるため、業者の緊急時対応体制は重要な選定基準です。
緊急時対応体制について確認すべき項目として、以下が挙げられます。
- 24時間対応の可否
- 緊急時の連絡体制
- 現地への駆けつけ体制
- 設備故障時の対応フロー
- ゲストトラブル時の対応方法
過去のトラブル事例とその解決方法について具体的な説明を求めることも有効です。設備故障、ゲストクレーム、近隣トラブル、予約システムの障害など、様々な状況での対応実績を確認し、その解決力を評価することが重要です。
また、トラブル発生時の費用負担についても事前に確認が必要です。業者負担となる範囲、オーナー負担となる条件、追加費用の上限額などを明確にしておくことで、予期しない費用負担を避けることができます。
⑦マーケティング・集客力の実証
民泊の収益性を左右するマーケティング・集客力は、業者選定において最も重要な要素の一つです。
マーケティング力の評価項目として、主要予約サイトでの上位表示実績、リスティング最適化のノウハウ、写真撮影・編集の品質、競合分析の精度、プロモーション企画の実効性があります。
具体的な評価方法として、管理物件のAirbnbやBooking.comでの検索順位、同一エリアでの予約獲得率比較、リスティング写真の品質、説明文の魅力度などを確認することが有効です。
また、SEO・MEO対策やSNSマーケティングなど、予約サイト以外での集客施策についても確認が重要です。多角的な集客チャネルを持つ業者ほど、安定した収益確保が期待できます。
よくある質問
- 住宅宿泊管理業者の登録はどこで確認できますか?
国土交通省の公式サイトから「住宅宿泊管理業者一覧」をダウンロードして確認できます。登録番号は「国土交通大臣(◯◯)第◯◯号」の形式で付与されています。
- 運営代行業者には何をお願いできますか?
主なサービスとして、ゲスト対応(予約受付・チェックイン案内・問い合わせ対応)、清掃・リネン交換、価格設定・収益管理、OTA(予約サイト)への掲載・管理、トラブル対応、定期レポート作成などがあります。業者により対応範囲が異なるため、必要なサービスが含まれているか事前確認が重要です。
- 民泊運営代行の手数料相場はどのくらいですか?
一般的に売上の15%〜30%が相場です。完全代行型は15%〜30%、部分代行型は5%〜15%程度となっています。極端に安い手数料の業者はサービス品質に注意が必要です。
- 運営代行を依頼する際の初期費用はかかりますか?
依頼内容や業者によって異なりますが、セットアップ費用として10万円〜30万円程度かかる場合があります。写真撮影、リスティング作成、ハウスマニュアル作成などが含まれることが多いです。
- 運営代行業者の初期費用には何が含まれますか?
一般的にプロによる物件写真撮影、各予約サイトへのリスティング作成・掲載、アカウント設定、初回清掃、備品チェック、運営マニュアル作成などが含まれます。物件プロデュースなどの提案の場合は100万円程度かかる場合もございます。
- 契約期間や解約条件はどうなっていますか?
一般的に1年間の契約期間で自動更新となることが多く、解約時は1〜3ヶ月前の事前通知が必要です。違約金が発生する場合もあるため、契約前に必ず確認してください。
- 緊急時の対応はどこまでしてもらえますか?
24時間対応の業者もありますが、対応範囲や追加費用は業者により異なります。設備故障、ゲストトラブル、現地駆け付けなど、具体的な対応内容を事前に確認することが重要です。
- 清掃やリネン交換の頻度はどのくらいですか?
基本的にはゲストのチェックアウト後に毎回実施されます。リネン交換も同様ですが、連泊時の対応や特別清掃については業者により異なるため確認が必要です。
- 稼働率が低い場合の改善提案はしてもらえますか?
優良な業者であれば、価格設定の見直し、リスティングの最適化、写真の撮り直しなど具体的な改善提案を行います。月次レポートで分析結果と合わせて提案される場合が多いです。
- 複数の予約サイト(OTA)に対応してもらえますか?
多くの業者がAirbnb、Booking.com、楽天トラベルなど複数のOTAに対応しています。ただし、対応サイト数や管理方法は業者により異なるため事前確認が必要です。
- 運営代行業者を変更したい場合はどうすればよいですか?
現在の契約内容を確認し、解約予告期間に従って手続きを行います。新しい業者への引き継ぎについても事前に相談し、ゲストへの影響を最小限に抑える計画を立てることが重要です。
ReINNに民泊の運営代行相談してみませんか?
業者選定を効率的に進めるために、ReINNでは運営代行業者を比較できるサイトを運営しています。
会社概要から手数料率、運営室数、清掃体制など細かな運用面までを網羅。【完全無料】でご利用いただけますので、ぜひご活用ください。
- 会社概要・サービスの特徴
- 累計運営室数
- 対応可能エリア
- 手数料・料金体系の比較
- OTA対応・自社サイト構築の有無
- 対応可能なサービス範囲
- 部分代行の可能範囲
- 対応可能な言語 など
※その他の情報についても、ご要望に応じて弊社にて確認させていただきます。




