【2025年最新版】民泊駆けつけサービスとは?選び方から費用まで徹底解説

【免責事項】
・本記事における「民泊」とは、住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業、旅館業法に基づく簡易宿所営業、および特区民泊制度のいずれも含む総称です。
・本記事の内容は、2025年10月時点で確認可能な法令・制度・サービス内容等に基づき作成しています。最新の法令や制度、各サービスの詳細については、必ず各自治体や事業者の公式ホームページにてご確認ください。

民泊運営において、緊急時対応体制の整備は法的義務であり、適切な運営に欠かせない要素です。

本記事では、民泊駆けつけサービスの全体像から具体的な選定方法まで、効率的な体制構築に必要な情報を包括的にお伝えします。

【この記事でわかること】

  • 駆けつけ体制の法的要件と運営方法別の駆けつけ体制構築パターン
  • オーナー対応/セキュリティ会社/運営代行の比較と費用相場
  • 業者選定・契約で確認すべきチェック項目と失敗回避の勘所
目次

民泊駆けつけサービスとは?

駆けつけサービスの内容

駆けつけサービスとは、民泊施設において緊急事態やトラブルが発生した際に、現地へ迅速に赴いて対応を行うサービスです。24時間体制で宿泊者の安全確保と円滑な民泊運営を支援します。

主な対応内容

  • 鍵の受け渡し・施錠確認
  • エアコンや給湯器などの設備故障対応
  • 近隣住民からの苦情対応
  • 宿泊者の急病・事故時の初期対応
  • 火災・地震等の災害発生時対応

駆けつけサービスは利用必須?

宿泊施設に適用される法的要件は、事業の運営区分(旅館業法か住宅宿泊事業法か)と、自治体が独自に定める上乗せ条例の組み合わせによって決まります。

住宅宿泊事業における要件

住宅宿泊事業法第11条により、家主不在型の民泊施設においては住宅宿泊管理業者への管理業務委託が法的義務とされています。委託を受けた管理業者は、住宅宿泊事業法施行規則に基づき「届出住宅へすみやかに駆けつけることが可能な体制」の整備が義務付けられています。

参考:住宅宿泊事業法11条|法令マーク

旅館業法(簡易宿所営業)における要件

厚生労働省「旅館業における衛生等管理要領」では、簡易宿所営業者に対し「宿泊者の緊急を要する状況に対し、その求めに応じて、通常おおむね10分程度で職員等が駆けつけることができる体制」の整備を指導しています。

参考:旅館業の衛生等管理要領の改正|厚生労働省

自治体による上乗せ条例

「上乗せ条例」とは、国が定めた法律や基準に、地方自治体が独自のルールや要件を追加して設ける条例のことです。

国の法律は全国一律の最低限のルールを定めていますが、地域ごとの事情や特性にきめ細かく対応するには不十分な場合があります。そこで、自治体が「上乗せ条例」を制定し、地域の安全や環境を守るための追加ルールを設けています。

例えば、東京都江東区や京都府京都市では、以下のような上乗せ条例が存在します。

自治体駆けつけ時間要件根拠条例
一般的な基準30分以内(交通状況により60分以内)各自治体条例による
京都市徒歩10分以内京都市住宅宿泊事業の実施に関する条例
東京都江東区徒歩10分以内江東区住宅宿泊事業の実施に関する条例

参考:京都市住宅宿泊管理事業の運営について|京都市

参考:江東区旅館業法施行条例施行規則16条|江東区

駆けつけが必要になる典型的なシーン

実際の民泊運営では、以下のような場面で駆けつけ対応が必要となります。

設備関連のトラブル

  • 鍵の紛失・施錠トラブル(最も多い事例)
  • エアコンの故障(夏季・冬季に集中)
  • 給湯器の故障、ガスがつかない問題

近隣トラブル関連

  • 騒音に関する近隣からの苦情(深夜が多い)
  • ゴミ出しルール違反への対応

安全・セキュリティ関連

  • 宿泊者の急病や体調不良
  • 不審者の侵入・徘徊

駆けつけ対応の3つのパターン

パターン1:オーナー自身による対応

1つ目は、オーナー自身が駆け付けの対応をするパターンです。

こんな方におすすめ
・民泊運営を始めたばかりで1〜2件程度の物件で運営している方
・物件の近くにお住まいの方
・コストを抑えたい方

メリットデメリット
・迅速な意思決定が可能・24時間365日の待機が必要
・物件の状況を詳細に把握できる・専門的な知識/技術が不足する場合がある
・コストを最小限に抑えられる・複数物件の運営では物理的に限界がある

自身での管理になるため費用は発生せず、一番コストを最小限に抑えられる方法です。
ただし、家主居住型のみと制限される他、鍵トラブル、設備故障、水漏れ、緊急安全事案(火災、ガス漏れ等)など、多様なトラブルに対応できるよう手配することが求められるため、リソースや知識、業者とのコネクションが求められます。

パターン2:セキュリティ会社に依頼

2つ目は、セキュリティ会社が駆けつけの対応をするパターンです。

こんな方におすすめ
・ご自身が不在がち、または夜間の対応に不安がある方
・騒音などの近隣トラブルを避けたい方
・運営コストよりも安心感を重視する方

メリットデメリット
・緊急時の判断力と対応力に優れる・民泊運営に特化した知識が不足している業者もある
・24時間365日の確実な対応体制・設備トラブル等の技術的対応には限界がある
・警備/防犯に関する専門知識を有する・料金体系が比較的高額になる傾向

セキュリティ会社のサービスは主に防犯/安全管理に重点が置かれています。例えば、ALSOKの「民泊運営サポートソリューション」では、24時間のコールセンター対応が基本サービスです

費用に関して

基本的には、月額基本料金+出動料で構成されます。出動料については、1回出動ごとに費用が発生するため、出動回数が多いほど費用が掛かってきます。

基本サービス料金年間コスト試算
• 月額基本料:5,000〜15,000円• 年間基本料60,000~180,000円
• 出動料:1回あたり8,000〜20,000円• 年間出動費用:24,000円~60,000円

※年間コストは、標準的なケース(月額10,000円、年に3回出動想定)を想定
※料金は一般的なサービスの概算であり、詳細は各サービス会社にご確認ください

参考:公式HP|ALSOK

パターン3:代行業者への委託

3つ目は、代行業者が全てを対応するパターンです。

こんな方におすすめ
・民泊運営に手間や時間をかけられない方
・物件から遠い場所にお住まいの方
・法律や条例の変更に追従するのが難しいと感じる方

メリットデメリット
・専門知識の活用: 民泊運営特化のノウハウを活用できる・コストの発生: 委託範囲が広くなるほど費用が高額になる
・の軽減: 苦手な業務や時間的に難しい業務を任せられる・業者への依存: 業者の質によって成果が大きく左右される
・多言語対応: 外国人ゲストへの対応もスムーズに行える・連携の難しさ: 担当範囲が曖昧だとトラブルの原因になる
・法令遵守: 煩雑な法規制にも確実に対応してもらえる
・柔軟な運営: 完全代行から部分的な委託まで選択できる

代行業者の中でも完全代行業者と部分代行業者に分けられます。

完全代行業者

駆けつけに留まらず、民泊運営の全般を委託する包括的なサービスです。

主な業務内容
〇マーケティング・集客
・リスティング(物件紹介ページ)の作成と最適化
・宿泊料金の価格設定・調整

〇ゲスト対応
・予約・問い合わせの管理(多言語対応含む)
・滞在中のトラブル・緊急時対応

〇物件管理
・清掃会社の手配と品質管理
・設備の簡単なメンテナンス

費用に関して

運営代行会社の費用は、最初に一度だけかかる初期費用と、その後に月々発生する運営代行費用の2つで構成されるのが一般的です。運営代行費用は、売上に応じて費用が変わる「売上連動型」か、毎月定額を支払う「固定型」のどちらかを選ぶ形になります。

① 初期費用(50,000円 〜 200,000円)② 運営代行費用◀ AかBのどちらかを選択
運営開始準備のための費用A.【売上連動型】(総売上の15% 〜 30%)
※売上が低い時期は費用を抑えられる
B.【固定型】(月額 50,000円 〜 150,000円)
※毎月の費用が一定で予算管理がしやすい

部分代行業者

部分代行業者とは、民泊の運営に必要な機能のうち、ある一部分のみを委託できる業者です。今回では、駆けつけサービスを部分的に提供している代行業者が対象です。

費用に関して

セキュリティ会社と同様に、月額基本料金+出動料で構成されるケースが多くございます。セキュリティ会社よりも安くなりやすい一方、サービス品質は各業者によってバラつきがあるため、適切な代行業者選びが重要です。

基本料金体系月間利用想定コスト
• 月額基本料:3,000〜8,000円• 利用頻度1回/月の場合:11,000〜18,000円
• 出動料:1回あたり3,000〜10,000円• 利用頻度2回/月の場合:17,000〜28,000円
• 初期設定費:10,000〜30,000円• 利用頻度3回/月の場合:23,000〜38,000円

駆けつけサービスを選ぶ際の注意点

①対応エリアと駆けつけ時間

業者選定において最も重要な要素の一つが、実際の駆けつけ時間です。必ず法的要件を満たせる業者に依頼しましょう。

確認すべき事項
・拠点から物件までの実際の移動時間
・交通状況を考慮した最悪ケースでの到着予想時間
・拠点の営業時間と夜間・休日の対応体制

地域による制約
都市部では拠点が多く比較的短時間での対応が期待できますが、地方部では物理的な距離により法的要件以内での対応が困難な場合があります。

②対応可能業務の範囲

駆けつけサービスと一口に言っても、業者により対応可能な業務範囲は大きく異なります。依頼したい業務が駆けつけだけなのか、その他の業務も依頼したいのかで業者選びも変わるので、依頼する前に整理をしましょう。

【記号の凡例】

: 主な対応業務 : 自信があるとは言えない : 対応不可

駆けつけ業務オーナー自身セキュリティ会社管理代行会社
鍵のトラブル対応
近隣からの苦情対応
不審者への対応
警察・消防への緊急通報
緊急の設備修理・メンテナンス
法的トラブルの初期対応
多言語でのゲスト対応

③料金体系(月額・都度・成功報酬型の比較)

駆けつけサービスの料金体系は、業者により大きく異なります。自身の物件の稼働率や想定されるトラブル頻度を見て、自分に合ったものを選びましょう。

料金体系費用の目安メリットデメリット
月額固定型3,000円 〜 10,000円 / 月・予算管理がしやすい・利用がなくても費用が発生する
・利用頻度が高い場合に割安になる
都度課金型5,000円 〜 15,000円 / 1回・利用頻度が低い場合にコストを抑えられる・トラブルが集中すると高額になるリスクがある
・無駄な費用が発生しない

④24時間365日対応の可否

民泊の特性上、トラブルは時間を選ばず発生します。いつ起こっても対応できる環境が必要なため、自身の物件はどの対応レベルが必要なのかを考えましょう。

対応レベルの分類
フル24時間対応:いかなる時間でも駆けつけ対応可能
制限付き24時間対応:コールセンターは24時間、駆けつけは緊急時のみ
営業時間内対応:平日日中のみの対応

駆けつけサービス導入・契約にあたってのチェックポイント

導入前のチェックポイント

導入前には以下を行うようにしましょう。

物件状況の整理

  • 設備の設置状況と取扱説明書の整備
  • 鍵の管理方法と予備鍵の準備
  • 近隣の緊急連絡先(病院、警察、消防)の整理
  • 物件周辺の地理的情報(最寄り駅、目標物等)の整理

想定トラブルの分析

過去のトラブル履歴や物件の特性を基に、発生しやすいトラブルを予想し、それぞれの対応方法を事前に検討します。築年数の古い物件では設備トラブルが多く、新築物件では使用方法の問い合わせが多い傾向があります。

契約時のチェックポイント

契約締結時には、以下の点について詳細に確認し、契約書に明記することが重要です。

対応体制の詳細

  • 具体的な駆けつけ時間(平均・最大)
  • 対応可能な業務範囲と制限事項
  • 夜間・休日の対応体制と追加料金
  • 複数拠点がある場合の担当拠点と代替体制

料金体系の透明化

  • 基本料金と追加料金の詳細
  • 作業時間による料金変動
  • 材料費・交通費等の実費の扱い
  • 料金改定の条件と手続き

責任範囲の明確化

  • 業者の責任範囲と免責事項
  • 損害発生時の対応と補償範囲
  • 個人情報の取扱いと秘密保持
  • 契約解除の条件と手続き

よくある質問

駆けつけサービスの契約期間はどの程度が一般的ですか?

1年間の契約が最も一般的です。ただし、初回契約では3〜6ヶ月程度の短期契約を結び、サービス品質を確認した後に長期契約に移行することも可能です。

複数の物件を運営している場合、一括契約は可能ですか?

多くの業者で複数物件の一括契約が可能で、物件数に応じた割引が適用される場合があります。ただし、物件の立地や特性により個別の料金設定が必要な場合もあります。

契約解除時の注意点はありますか?

契約解除時は、事前通知期間(通常1〜3ヶ月)を確認することが重要です。また、初期設定費用の返金条件、鍵等の返却手続き、最終請求の処理方法についても契約時に確認しておくことが必要です。

サービス品質が期待に満たない場合の対処方法は?

まず業者との協議により改善を求めます。契約書に定められた品質基準を下回る場合は、契約解除や損害賠償の請求も可能です。このため、契約時に具体的な品質基準と改善手続きを明記しておくことが重要です。

駆けつけ業務の委託はReINNにおまかせ

このように民泊駆けつけ業務ではあなたの知識や物件の特性に合ったものを選択することが非常に重要になります。

東急不動産ホールディングスグループのReINN株式会社ではこれらを包括的に支援しております。完全代行のご相談から、セキュリティ会社と連携した駆けつけサービスもご提供可能です。

もし物件の運営に関して不安がございましたら、ぜひReINNに無料でご相談ください。

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