竪穴区画とは、階段室や吹き抜け、エレベーターシャフト、ダクトスペースなど、建築物内で上下階をつなぐ縦方向の空間(竪穴部分)を、耐火構造の床や壁、防火設備で区画することを指します。
建築基準法施行令第112条で定められた防火区画の一種で、火災発生時に炎や煙が他の階へ急速に広がることを防ぐ目的があります。主要構造部が準耐火構造または耐火構造で、地階または3階以上に居室がある建築物が対象となります。ただし、避難階とその直上階・直下階のみをつなぐ吹き抜けや、3階建以下で延べ面積200㎡以内の住宅については、一定の条件下で緩和措置が適用されます。
加えて、3階建てで延べ面積200㎡未満の旅館・ホテル等については、主要構造部が準耐火構造や耐火構造でない場合でも竪穴区画の設置が義務付けられました。ただし、この場合の区画方法は緩和されており、ホテル・旅館・下宿・共同住宅・寄宿舎などの用途では、間仕切壁または戸での区画が認められています。これらの区画材には耐火性能は求められず、一定の厚みを持つ壁や戸であれば基準を満たすとされています。この規定は、小規模な特殊建築物の用途転用を促進しつつ、利用者の避難安全を確保するための措置として導入されました。
民泊施設を運営する際は、共同住宅やホテルの用途特性に応じて竪穴区画の要否を確認し、適切な防火対策を講じる必要があります。








