東急不動産ホールディングスグループが運営する民泊開業・運営プラットフォーム「ReINN」では、30社以上の代行会社と提携し、オーナー様のご希望に沿った最適な代行会社をご紹介しています。本連載では、「ReINN Partners Interview」と題し、オーナー様に寄り添いながら日々の運営を担う事業者の声を、ありのままにお届けします。
今回ご紹介するのは、「株式会社インバウンドホールディングス」です。ホテル・民泊・グランピング施設の開発・運営・集客・マーケティングを主軸に、現在121棟601室の運営代行を展開する宿泊事業者です。豊富な運営実績をもとに、旅マエ・旅ナカ・旅アトそれぞれに対し、独自のソリューションを展開し、全国47都道府県どんなエリアでも支援を可能にしています。
本インタビューでは、運営において大切にしている考え方や、今後描く展望について、専務取締役の山崎さんに詳しくお伺いしました。
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【免責事項】
・本記事における「民泊」とは、住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業、旅館業法に基づく簡易宿所営業、および特区民泊制度のいずれも含む総称です。
・本記事の内容は、2026年6月時点で確認可能な法令・制度・サービス内容等に基づき作成しています。最新の法令や制度、各サービスの詳細については、必ず各自治体や事業者の公式ホームページにてご確認ください。
・本記事で紹介している投資手法や運営実績は、個人の経験および特定の物件における事例であり、将来の確実な利益や投資成果を保証するものではありません。民泊投資には空室リスクや価格変動リスク等が存在するため、実際の投資判断はご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。
「旅する人の最高のパートナーへ」── ミッションと事業の全体像

―― まず御社の事業概要とミッションについて教えてください。
山崎さん: ミッションとして「エンターテイメントの力で世界を優しくする」を掲げています。旅を広義で捉えたときにエンターテイメントだと考えているからです。世界には様々な地域があり、それぞれに歴史や美しい景色、温かい人がいる。旅ができれば人と人との交わりが生まれて、世界を優しくすることができる。そのビジョンとして「旅する人の最高のパートナーとなる」を掲げています。
現在ReINNさんにご協力いただいているのが、ホテル・民泊・グランピング施設の開発・運営・集客・マーケティング事業で、私たちはこれを「旅マエ事業」と位置づけています。それ以外に、訪日外国人向けのインバウンドサービス『SPOT JAPAN』という「旅ナカ事業」にも取り組んでいて、現在全国のホテル、約16,000室に設置していただいています。QRコードを読み込むと、ゲストの母国語で近くのおすすめスポットを案内してくれるサービスです。さらに将来的には、旅マエ・旅ナカで得た訪日外国人との接点を活かした越境EC事業など、旅アト事業も展開していく予定です。
―― 宿泊事業が現在の主軸ということですね。
山崎さん:そうですね。売上のメインは旅マエ事業である宿泊事業で、現在121棟601室を運営代行の形で展開しています。有人ホテルが3棟、あとは無人宿泊施設を中心に、旅館業・特区民泊・民泊新法など多様な形態に対応しています。100%自己資本でやっているので、宿泊事業で安定した収益を上げながら、次の事業への投資ができるという強みもあります。
―― 最近は内製化支援も始めたとお聞きしました。
山崎さん: そうなんです。運営代行に完全委託したい方もいらっしゃる一方で、宿泊事業のノウハウを自社に蓄積して、仕組みを内製化したいという法人も増えてきています。
ただ、自社でやろうとして失敗するケースも増えているのが事実です。民泊新法ができてから累計6.3万件の届出がありましたが、約36%が廃止となっています。例えば、深夜2時に「鍵が開かない」と電話が来ても対応できない、ベランダでパーティーをされて近隣から通報される、1人予約なのに10人来て汚したにもかかわらず、リベンジレビューを書かれる。実際の運営はトラブルが絶えないんです。
宿泊事業は「開業」よりも「継続」のほうがはるかに難しい。だからこそ、前身となる会社からあわせると、累計3,000室の運営を通じて培った仕組みやノウハウをそのままお渡しできる、それが内製化支援です。
「コンサルティング事業部」としての徹底 ── 提案から出口戦略まで伴走する体制
―― 会社として特に支援されているオーナー様の属性はございますか。
山崎さん:特に絞っていません。むしろ、戸建てでも貸し別荘でもホテルでも、どんな物件でもまずご相談くださいとお伝えしています。
我々は民泊の部署を「コンサルティング事業部」と呼んでいます。なぜかというと、提案をするということを大事にしていますので、オーナー様に対して実現したい未来を提案して、それの実現を手助けするコンサルティングだという立ち位置にしているからです。だからこそ、特定の得意分野に絞るのではなく、どんなご相談に対しても適切な提案ができるようにしていくことが、私たちの前提にありますね。
―― 出口戦略の支援まで行っているとのことですが、具体的にはどのような支援を行っているのでしょうか。
山崎さん: 不動産を実需で購入する場合、基本的には土地と建物の価格で取引されます。ただ、宿泊事業として売却を迎えるときは「収益還元法」といって、この物件の利回りはどのくらいか、このエリアの期待利回りはどのくらいかという形で売却価格が算定されます。つまり入口と出口で価格の決まり方がまったく違うんです。どう運営すれば高い出口を迎えられるか、その設計を最初から一緒にして、何年後に売却する前提でやりましょう、というご支援が可能です。業界では、600億で買ったものが2年で1,200億で売却という事例も存在します。
マクロ経済から宿泊事業を捉える ── 企画力・データ活用の裏側にある組織文化
―― コンセプト設計や企画はどのように行っているのですか。
山崎さん: オーナー様が宿泊事業をビジネスとして捉えているのか、副業や趣味として捉えているのかによってアプローチが変わります。ビジネスであれば完全に需給の話なので、立地の需要と供給のバランス、単価や稼働率の上げ方を徹底的に分析します。
そのためにチーム全員にマクロ経済まで勉強させていて、円安やインフレ、GDPとの連動関係を把握した上で提案できる状態にしています。例えば、ADR(宿泊単価)はCPI(消費者物価指数)と長期的に連動しているため、将来的にインフレが続く限り、ADRも伸び続けていくという前提で価格戦略を組み立てています。
コンサルティングを名乗る以上、経済や金融は最低限知っていなければならない。だから毎朝日経新聞を読んで、おすすめ記事を選んでコメントし合うという習慣をチーム全員で続けています。
―― 組織文化が事業全体の運営力にも影響しているのですね。 実際にどのような形で行っているのでしょうか。
山崎さん: 毎朝、日経新聞を読んで、それに対して「あなたならどうやってつなげるか」と視点で議論しています。我々はプロフェッショナルでなきゃいけないので、プロフェッショナルとして、当たり前にマクロ経済を学んで、それを実務に活かしています。
ITを駆使した集客と、AI自社開発 ── 運営の精度を上げ続ける仕組み

―― 運営における強みとして、圧倒的な集客力を謳われていますが、具体的にはどういった形で実現可能にしているのでしょうか。
山崎さん: 集客の打ち手は物件タイプによって全然変わります。貸し別荘であれば、OTAの写真だけでは伝わらない魅力があるので、ドローンを飛ばしてホームページをきちんと作る。入口はOTAでもいいけれど、名前で検索したときに公式サイトが出てきて、旅行前にしっかりイメージできる状態を作ることでリピートにもつながります。
また今後はGoogleがAIで旅行完結の領域に本格参入してくるので、Googleマップへの地点登録やレビュー対策も当たり前にやっていかなければならない。こういったマーケティング視点で動くことを意識しています。
―― AI活用も積極的に取り組まれているとのことですが。
山崎さん: AIを使って対応しているものは大きく二つあります。
一つはダイナミックプライシングです。これは人がやるとどうしても感覚が入ってしまいます。例えば、昨年、大阪で中国人ツアー客が急減したことがありました。実は中国人がいなくなったわけではなく、中国人のツアー客がいなくなったんです。ツアーの宿泊先はもともと有人ホテルがメインだったので、有人ホテルの予約が一気になくなり、価格をとんでもないところまで下げちゃったんです。私たちは無人施設がメインでツアー客はもともとターゲットではなかったのですが、有人ホテルが価格を大幅に下げたことでそちらに流れてしまって、一時的に稼働率が落ちました。その際、AIで適切に対応していた施設とそうでない施設では大きな差がでました。悪いときに差が出るのはもちろんですが、逆にイベントに合わせて単価を上げるような対応も、人力だけでは限界があるためAIを導入しています。
二つ目が「バクレス」という自社開発のAI一元管理ツールです。Booking.com、Airbnb、楽天トラベルなど複数のOTAから届くメッセージをすべて集約して、返信文案まで自動生成します。スタッフが確認してボタンを押すだけなので、原則1分以内に返信できています。こういったものを社内の AI推進室で自社開発しているというのが強みですね。
「相手の立場に立つ」── 運営哲学とゲスト対応へのこだわり
―― 運営において根本的に大切にしていることはどんなことですか。
山崎さん: 一言で言えば「相手の立場に立つ」ことです。例えば、10年目の結婚記念日に泊まりに来たゲストが、ゴキブリを1匹見たとしたら、それが嫌な気持ちになるのは理解できるけど、それをただ1/600として考えてしまうと、機械的な対応になってしまいます。601室のうちの1件として処理するのではなく、そのゲストの旅の文脈に入り込んで考えられるかどうか。これはオーナー様に対しても同じで、退職金を全部注ぎ込んでいる方と、富裕層で資産運用の一環としてやっている方とでは、ミスが持つ意味がまったく違う。だから対応が同じでいいはずがないんです。
―― ゲスト対応においても、意識されているポイントなどございますか。
山崎さん: 提案ということを、常に意識をしています。例えば、ゲストから「近くにコンビニはありますか?」と聞かれたとき、コンビニを教えるだけでは不十分だと思っています。「何かご入用でしたか?」と一歩踏み込んで聞いてみると、その方が海外のゲストで、コンビニでは買えないものを探していることがわかる。だったら本当に案内すべきはドン・キホーテかもしれない。質問の裏にある意図や背景まで読んで、代案や提案ができる状態を目指しています。我々もまだ完璧ではないので、引き上げていかないといけないと思っています。
代行会社の選び方と、これから参入する方へのアドバイス
―― 代行会社を選ぶ際に、オーナー様が見るべきポイントはありますか。
山崎さん: 多くの方が「会社がそのエリアにあるかどうか」を気にされますが、本当に見るべきポイントはレスポンスのスピードだと思います。例えば、上場企業の代表者もレスポンスを非常に大事にされている方は多くいますね。ミスは誰にでも起きますが、その時に「何が起きていて、いつまでに対応するか」を素早く伝えられるかどうかが、信頼の分かれ目なのかなって思います。
―― これから民泊や旅館業への参入を検討されている方へのアドバイスもお願いします。
山崎さん: まず、「民泊は宿泊事業だ」という認識を持ってほしいです。民泊新法以降、累計約6.3万件の届出のうち約36%が廃止となっているのは、不動産賃貸業のように持っていれば回ると思って入ってきた方が多いからだと思います。宿泊事業は競合が存在する、仕入れがある、原価がある、飲食店と同じ構造なんです。戦略を立てて、それが実現できるパートナーが必要だと考えています。 ただ、日本のインバウンド需要は構造的に伸び続けますし、2030年に向けて客室数は東京・大阪ですら不足している。だから参入自体はすごくいいことだと思います。代行業者に委託はしつつも、オーナー自身も主体性をもって取り組むことが非常に大切だと思います。
上場を見据えて、インバウンドの第一想起へ ── 今後の展望

―― 最後に、今後の展望を聞かせてください。
山崎さん: まず宿泊事業としては、今年中に1,000室、2027年に2,000室を目指しています。次に『SPOT JAPAN』については、現在16,000室に導入いただいていますが、2026・2027年に日本全国のホテルすべてに展開することを目指しています。そして、2027年のTPM(東京プロマーケット)への上場を目指し、その後東証グロースに上場していこうと考えています。そこでより大きな資金でインバウンド向けのサービスをスケールさせていくことを目指していきます。
2030年の段階で、「インバウンド」と言えば真っ先に思い浮かぶ会社になっていたいと思います。自動車ならトヨタというように、インバウンドにおける第一想起の会社が今の日本にはないので、その会社になる、というのが私たちのビジョンです。
旅を通じた人と人のつながりを本気で信じながら、経済分析からAI開発まで学び続ける組織をつくり上げてきた株式会社インバウンドホールディングス。前身事業でのコロナ禍での挫折を糧に、オーナーの立場に徹底して寄り添い、事業の入口から出口までを設計できるパートナーであろうとする姿勢は、「ただの運営代行会社」とは一線を画しています。
東急不動産ホールディングスグループが運営する「ReINN」では、独自の基準をクリアした代行業者のみをご紹介。民泊代行検索サイトでは条件を絞り込んで複数社を比較できるほか、専任コンサルタントへの無料相談を通じて、オーナー様に最適なパートナー探しをサポートします。ぜひお気軽にご相談ください。
■主なサポート内容
- 運営代行会社の選び方のご説明
- 運営代行会社選びの比較検討支援
- 民泊の開業・運営に必要なお役立ち資料のご提供
- 民泊向け物件のご案内
※その他の情報についても、ご要望に応じて弊社にて確認させていただきます。









